光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック
第5回

使える自然光を選んでライティングを作る

光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック」は、タイトルの通り、人物撮影時におけるラインティングテクニックを指南する主旨の書籍です。本書ではストロボライティングの基本と、後幕シンクロやマルチ発光などの応用技術をカバーしていますが、このほかにもストロボの基本を学ぶ前段階として、自然光を活用した撮り方も解説しているのが特徴となっています。

本記事では、チャプター2「実践!イルコのポートレート・テクニック」より、自然光を利用したポートレートのコツについての記述をご紹介します。

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自然光でナチュラルに撮る

光を見る目を養うには、普段の何気ない光を見るのが大事だよ!

太陽光=自然光は1つとして同じ状態はなく、つねに光量や方向性、光の質が変化しています。ストロボを使う場合も、使わない場合も、自然光を見極めて自分のライティングを作りましょう。

キヤノン EOS-1D X / EF135mm F2L USM/マニュアル露出(F2、1/250秒)/ ISO160 / WB:マニュアル

まずは自然光で撮ってからストロボを使う

いつもストロボを使ってると思われてるかもしれないけど、きれいな自然光、自分のイメージに合う自然光があれば積極的に使います。自然光もクリエイティブに使うことによって、いろいろなイメージで撮影することができます。ただし、ストロボのように「光量」の調整はできないので、撮影できるチャンスが限られています。

ですから、撮影のときは、まず自然光だけで撮れるものを撮ってから、必要なところにストロボを入れて撮る、という流れになることが多いです

日中の撮り方には4つの方法があります。

1. 自然光を使ってストロボを使ったように撮る
2. ストロボを使って自然光っぽく撮る
3. 自然光だけで光のポートレートを撮る
4. ストロボをバリバリ使って撮る

今回は、このうち1について解説します。

光の方向を見ながら被写体を立たせる

自然光で撮影するとき、何を基準に露出を決めるかというと、被写体の顔です。順光でも斜光でも半逆光でも、顔がきれいに見える露出で撮影します。その設定で背景が飛んでしまったり、黒くつぶれてしまったり、自分のイメージ通りの背景と被写体のつながりがとれないときは、ストロボを入れて光量を調整します。

キヤノン EOS-1D X / EF135mm F2L USM/マニュアル露出(F2、1/1000秒)/ ISO200 / WB:マニュアル

 

ポートレートではあまり使わない「順光」

順光は太陽が被写体の前にある状態です。強い光のときは、被写体にあまりきれいな光が回らないので、85mmや135mmを使ってストロボを入れずに撮影することはあまりありません。超広角や広角レンズを使うときだけです。

顔半分が影になる「斜光」

斜光は被写体の横から差し込む光です。よく使う光ですが、顔半分が影になり、ドラマチックな感じになります。被写体には顔だけ光の差し込むほうを向いてもらうことで、いい感じに光を回すことができます。

オススメの「逆光」

逆光は被写体の後ろから差し込む光です。レイヤ-2にあたります。髪のラインが太陽の光に透けて輝いて、きれいな光が回ります。完全に逆光だと顔がまるで影になってしまうので、半逆光くらいが使いやすいです。背景が暗い場所を選ぶのがポイント。

太陽の光は量より質で探す

ここまでは光の方向について触れましたが、ここからは光の質の話をしましょう。

私の好きな自然光は、建物や雲がアクセサリーの役割をして、やわらかく回っている光です。たとえば、建物の吹き抜けや、ビルの合間、トンネルの入り口など。曇りの日であればなお良いです。デフューズ(拡散)された光がさらに壁で拡散されて、やわらかく被写体に回ります。

曇りの日は光がどこからきているのか探すのが難しいかもしれませんが、自分の影を見たりすると、方向がわかります。いつも光を観察するくせをつけると良いと思います!

キヤノン EOS-1D X / EF135mm F2L USM/マニュアル露出(F2、1/250秒)/ ISO250 / WB:マニュアル

フラットな光はソフトボックスと考える

女性を撮るときは、できるだけやわらかい光で撮りたいです。自然光でアクセサリーを使ったようなやわらかい光を探すなら、曇りの日に木々から差し込む光などがいいですね。まるでソフトボックスを使ったような光を見つけられると思います!

雲のない晴天時は、いわばアクセサリーを使わずにストロボを直当てしたような光ですから、あまり積極的には使いたくありません。そういう光は、日中シンクロでパキッと撮影します。

曇天の木々のスキマ

曇りの日に、木々のスキマから差し込む光はとても好きな光です。トンネルの入口も、強い影ができずにきれいな光が回ります。そして、人が撮らないアングルを探しながら光を使っています。

トンネルの入口

上から差し込む光は斜め上を向くときれいに回る

木々のスキマや建物の吹き抜けなど、上からの光は下に影ができます。ですので、モデルが下を向くと顔に影ができてしまいます。上からの光が差し込む場所では、光を浴びるような感じで斜め上を向いてもらうことで、顔に影ができずにきれいに光が回ります。

トップからの光や、斜めからの光のときには、モデルには光のほうを向いてもらっています。

上からの光は下を向くと影ができる
斜め上を向くことで光が回る

ソフトボックスのようにやわらかい木漏れ日の光でも、方向性があります。

 


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光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック

著者プロフィール

ILKO ALLEXANDROFF (イルコ・アレクサンダロフ)

ブルガリア出身、神戸在住のフォトグラファー。
ファッション、ポートレート、ウェディングなどを中心に活動し、
ストロボを使った独自の撮影スタイルがブレイク。
YouTubeに撮影技術を紹介する動画を多く投稿し、
Facebook、Instagram等のSNSでも多くのファンを獲得する。

書籍(玄光社):
光の魔術師イルコのポートレート撮影スペシャルテクニック

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