赤城写真機診療所
第4回

レンズ科・症例:レンズ内のゴミが気になる病気

赤城写真機診療所 ~そんなカメラは捨てなさい~」では、カメラや撮影にまつわる悩みや迷いを「疾患」に見立て、「カメラ科」「レンズ科」「撮影科」「アクセサリー科」それぞれのカテゴリーで、質問を「症状」、回答を「診察」としてカメラや写真、撮影時の疑問に答えています。

「診察」と銘打ってはいますが、要は著者によるお悩み相談。「カメラあるあるネタ」に対する著者の見解を楽しむ一冊となっています。

本記事では「カメラ科」における診察内容の1つを抜粋してお届けします。

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レンズ内にゴミが混入していて夜も眠れません。


「レンズ内ゴミ恐怖症」である。レンズ内に超微細なミリ単位にも満たないゴミを見つけてしまうと、取れもしないのに、前から後ろからむやみにブロアーでレンズに風を吹きかけ続け、表面を拭き、思い悩み、神経を病んでしまう病気である。

そんな小さなゴミは携行している間にどこかにいってしまうことも多い。ひどいものならメーカーに依頼してクリーニングすればいいが、そんな無駄なカネは使わないほうがいい。気持ちは少しだけわかるけど、気にしないことだ。そんな小さなゴミなど写真には写らないし、描写にも影響はしない。カメラやレンズを磨くのが趣味のコレクターの方はそうではないのかもしれないけど。

その昔、日本で販売される正規輸入のハッセルブラッドにはスターマークなるものが貼られていた。スウェーデンのヨーテボリにあったハッセルブラッド社を訪れたとき、工場で梱包前のスターマークつきの500CXiがずらりと並んでいるのを見つけた。従業員に正規輸入の証のほか、このマークには何か特別の意味があるのかと訊いたら、「日本人はゴミにうるさいから、とくに念入りに掃除している個体の証」だと真面目な顔をして言われて驚いたことがある。

ちなみにブラウンシュバイクのローライを訪問したときには訊いてもいないのに「日本人はレンズのゴミにうるさい」と言われた。たしかに日本人にはとくに「レンズ内ゴミ恐怖症」に罹患している人が多いように見受けられる。

 写真+イラスト:大村祐里子

 


<ニュース>
本作の続編「赤城写真機診療所 MarkII」は、2018年6月29日に発売予定です。

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著者プロフィール

赤城 耕一


(あかぎ・こういち)

1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学写真技術科卒業。出版社を経てフリーに。雑誌、コマーシャル、企業PR誌などで人物撮影を主に担当する傍ら、戦前ライカから最新のデジタルカメラまでレビューも行うカメラ好き。カメラ雑誌、書籍など執筆多数。
「銀塩カメラ放蕩記(アサヒカメラ)」「ボケてもキレても(月刊カメラマン)」連載中。

書籍(玄光社):
中古カメラはこう買いなさい!
ズームレンズは捨てなさい!

Twitter:@summar2
ブログ:赤城耕一写真日録

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