「香川久×馬越嘉彦 バトルヒロイン作画&デザインテクニック」では、「戦う女性キャラクター」(バトルヒロイン)を切り口として、キャラクターデザインの方法論を解説しています。
著者の香川氏と馬越氏は1990年代より活躍しているアニメーター。様々な作品に作画監督や原画として参加しています。とりわけテレビ朝日系で毎週日曜日に放映されている「プリキュア」シリーズには両氏が共通して作画に関わっており、その内容はまさに「戦うヒロイン」を描いた作品群です。
本書では、前後編からなる「バトルヒロイン」のオリジナルストーリーをもとに、それぞれの作品に登場するキャラクターをデザインするうえで留意すべきポイントを中心に解説。キャラクター自身の設定や性格、表情やポーズの付け方、モチーフに合わせたコスチュームのディテールから描写のちょっとしたコツにいたるまで、愛されるキャラクターをデザインするためのノウハウを伝えています。
本記事では、「キャラクターの描き方 基本テクニック」より、「表情の描き分け」の頁を紹介します。
表情の描き分け
設定では真正面の顔を描いていますが、実際のアニメ本編で顔を真正面で描く機会はあまりありません。キャラクターの気持ちを、顔の角度で表現することもあります。このページでは表情と顔の角度について紹介していきます。
笑
基本的には口角を上げることで、笑顔を表現できます。また、同じ笑顔でも満面の笑みと、うつむき気味の表情では使用する状況も変わってきますので、使い分けが必要になってきます。(馬越)
怒
怒った顔の表情にも笑顔と同じく、複数種類を描き分ける必要があります。内側に傾いたまゆ毛や、下がり気味の口角が怒りを表わす代表的なパーツだと思われます。(馬越)
泣
泣き顔ではまゆ毛を、怒り顔とは逆に外側に傾ける表現にしてやるとわかりやすいです。どの表情についても言えますが、泣き顔を描いたからといって、必ずしもキャラの感情が悲しいというわけではありませんので、状況に応じて描き分けてみてください。(馬越)
Point
顔の角度だけで性格を表現する
顔の角度を少し変えるだけで、気の強い性格のイメージになります。目やまゆ毛、口などのパーツのディテールだけではなく、顔の角度でも性格が表現できることを知っておきましょう。(馬越)
顔の角度と表情
同じ表情でもアオリと俯瞰、斜めからの視点では印象も変わってみえます。設定画の場合など、耳がみえたほうが、角度を伝える時に親切かもしれません。慣れないうちは描く前に補助線をつけてやるといいでしょう。(馬越)
Point
状況によって基本設定に無い表情も
上の絵のように設定画では、歯を描かないことになっていますが、状況によっては歯を描くこともあります。また、下のギャグ顔などのデフォルメ化した表情も必要になってくる場合があります。(香川、馬越)
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