赤城写真機診療所
第5回

レンズ科:どうして50ミリレンズが「標準」なのですか?

赤城写真機診療所 ~そんなカメラは捨てなさい~」では、カメラや撮影にまつわる悩みや迷いを「疾患」に見立て、「カメラ科」「レンズ科」「撮影科」「アクセサリー科」それぞれのカテゴリーで、質問を「症状」、回答を「診察」としてカメラや写真、撮影時の疑問に答えています。

「診察」と銘打ってはいますが、要は著者によるお悩み相談。「カメラあるあるネタ」に対する著者の見解を楽しむ一冊となっています。

本記事では「カメラ科」における診察内容の1つを抜粋してお届けします。

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どうして50ミリレンズが「標準」なのですか?

35ミリ判カメラの標準レンズの焦点距離を50ミリとしたのは他ならぬライツだ。画角は46度程度となるが、この画角は肉眼で見た感じの範囲に近いので標準レンズとしたらしい。ほんとかよ。人間の視角はもっと広いぞ。

標準レンズの焦点距離はフォーマットの対角線の距離と同じとするのが基本的な約束事だ。本来なら35ミリフルサイズのフォーマットでは対角線の距離は43.3ミリになる。50ミリではこの理屈よりも画角が狭くなるが、現在に至るまで「標準レンズ」は50ミリ前後に収まっている。

リコーイメージングから発売されているsmcペンタックスFA43ミリF1.9のように対角線の距離をそのまま焦点距離としたレンズもある。フィルム時代のコンパクトカメラは焦点距離が35−45ミリ相当の焦点距離のレンズを搭載しているものが多いが、これは50ミリよりも旅行の記念写真に使いやすいとか、被写界深度が深いためにピンボケの失敗が少ないという利点があるからかもしれない。

考えてみれば「標準レンズ」という定義そのものが曖昧だ。私は35ミリ判では焦点距離35ミリレンズを標準として考える。これはスナップ撮影が多い自分なりの定義に基づいたもの。ポートレート撮影が多い人なら85−135ミリくらいの焦点距離レンズが標準になるかもしれないし、野鳥の飛翔を狙いたい人は600ミリを標準とするかもしれない。これらは画角に対しての極端な例だが、「標準」と考える焦点距離のレンズは人それぞれだ。

50ミリの標準レンズはF1.2-2程度の開放F値の大口径レンズが多い。画角を変えることはできないが、絞りを開けば望遠レンズのように、絞り込めば広角レンズのように使えるので、交換レンズが超高価だった時代、みなこの特性を応用していた。

いまではこうした貧乏くさいことを考える人は少ない。カメラ購入時にキットで「標準」ズームレンズがついているからだ。だから標準50ミリレンズは大口径の交換レンズの一本として考えたい。

ビギナーは自分の好きな被写体を撮影するとき、ファインダーに目を当てたまま、画角やパースペクティブになる位置にズーミングしてズームリングの焦点距離目盛りを見てみよう。それを「自分の標準レンズ」の焦点距離として考えてみるのはどうだろう。

「標準」と考える焦点距離のレンズは人それぞれだ。スナップ撮影が多い私は、35ミリ判では焦点距離35ミリレンズを標準として考える。

 


赤城写真機診療所

続編「赤城写真機診療所 MarkII」(2018年6月29日発売)


著者プロフィール

赤城 耕一


(あかぎ・こういち)

1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学写真技術科卒業。出版社を経てフリーに。雑誌、コマーシャル、企業PR誌などで人物撮影を主に担当する傍ら、戦前ライカから最新のデジタルカメラまでレビューも行うカメラ好き。カメラ雑誌、書籍など執筆多数。
「銀塩カメラ放蕩記(アサヒカメラ)」「ボケてもキレても(月刊カメラマン)」連載中。

書籍(玄光社):
中古カメラはこう買いなさい!
ズームレンズは捨てなさい!

Twitter:@summar2
ブログ:赤城耕一写真日録

 

<ワークショップ情報>

CAMERA fan ワークショップ Vol.7開催 参加者募集中
『トーキョー・スナップシュート F1.2で撮る世界』

玄光社のCAMERA fanは、2018年9月16日(日)と10月28日(日)に、オリンパスのF1.2大口径単焦点シリーズとPEN-Fでスナップショットを撮るワークショップを開催します。

第1回 9月16日(日)は、赤城耕一氏を講師に迎えて、PEN-Fのモノクロプロファイルコントロール機能とF1.2大口径のプロレンズを活かして、下町浅草の街を撮ります。

第2回 10月28日(日)は、大村祐里子氏を講師に迎えて、PEN-Fのカラープロファイルコントロール機能などの色調整とプロレンズを活かして、都内の自然風景を撮ります。

参加者にはオリンパス PEN-Fと、単焦点プロレンズシリーズをお貸し出しいたします。


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