オールドレンズ・ライフ
第7回

ノスタルジックな中にも鋭さを失わないSummar 5cm F2の写り

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、デジタルカメラ全盛の現代において「オールドレンズ」と呼ばれて人気を集めています。人気のきっかけとなったのは、ミラーレスカメラの普及でした。オールドレンズのほとんどは、そのままでは現行機種のカメラに装着できませんが、マウントアダプターと呼ばれるパーツを用いれば、現代のミラーレスカメラに取り付けが可能。そこから「レンズ遊び」が支持を集めるようになったのです。

写真家・ライターの澤村徹氏は、書籍「オールドレンズ・ライフ(玄光社刊)」シリーズで7年に渡ってオールドレンズの楽しみ方を紹介してきました。その集大成として刊行されたのが「オールドレンズ・ベストセレクション」。ここで採り上げた172本の魅力的で個性的なオールドレンズの中から、本記事では、Summar 5cm F2をご紹介します。

二重にまとったシルキーベール

NEX-5 + Summar 5cm F2 絞り優先AE F2 1/800秒 ISO200 AWB RAW これが典型的なズマールのシルキーベールだ。開放のフレアと前玉の無数のヘアラインが、紗をかけたような描写を生み出す。

ズマール5センチF2は二重のシルキーベールをまとっている。元来このレンズはフレアが出やすいレンズとして有名で、特に開放近辺は紗をかけたような表現だ。1933年に沈胴エルマーの兄貴分、大口径標準レンズとして登場したものの、開放時の甘さは当時から指摘されていた。ただ、改めてその写りを見ると、淡い仕上がりに個性を見出せる。

ズマールにはもうひとつフレアを招く要因がある。それは前玉の傷と曇りだ。ズマールは前玉の材質が柔らかく、拭き傷の多い個体をよく見かける。また、曇りも発生しやすいため、コントラスト低下でフレアっぽい写りになってしまうのだ。ズマール特有のシルキーベールをまとったような描写は、先天性と後天性、ふたつの理由があるわけだ。

後天的なシルキーベール、すなわち経年変化によるフレアは、再研磨という手段で取り除くことが可能だ。とは言え、経年変化さえもズマール固有の問題と言える。オリジナルの状態にこだわらず、ありのままの姿で使い続けるのも悪くない。

Summar 5cm F2 / Mount : Leica L mount / Bland : Leitz / 中古価格:25,000~50,000円 1933年から1940年にかけて製造された。4群6枚のダブルガウス型で、大口径標準レンズとして登場した。前玉の材質が柔らかく、拭き傷が多い。

 

NEX-5 + Summar 5cm F2 絞り優先AE F2 1/1600秒 ISO200 AWB RAW 開放ではフレアっぽい描写になり、シャドウの締まりが今ひとつだ。それでもシャープネスに鋭さがあり、レンズの素性の良さが伝わってくる。

オールドレンズ・ベストセレクション

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