オールドレンズ・ライフ
第1回

マニアックすぎるオールドレンズとマウントアダプターの世界

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、現代において「オールドレンズ」という立ち位置を獲得しています。オールドレンズのほとんどは、そのままでは現行機種として売られているどのカメラにも装着できませんが、ミラーレスカメラの普及に伴い、マウントアダプターと呼ばれるパーツを用いることで、現代のカメラでオールドレンズを使う「レンズ遊び」が一定の支持を集めています。

オールドレンズ・ライフ 2017-2018」は、現行機種のデジタルカメラにオールドレンズを装着して、古いレンズならではの持ち味を楽しむ主旨の書籍です。本書ではオールドレンズ独特の描写やボケ味などを例示し、扱い方のコツを紹介するとともに、あえて定番どころから少し外れたオールドレンズをチョイスし、個性豊かなレンズたちの新たな魅力を探ります。

全編通してマニアックなレンズ名が並ぶ本書ですが、本記事ではその中の1本、「Helios 44-2 58mm F2」の頁をご紹介します。

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オールドレンズ・ライフ 2017-2018

ロープライスな改造スクエア絞り

既存の絞り羽根を取り除き、代わりにスクエア型の絞りプレートを取り付けてある。eBayではこうした改造済みのヘリオスがよく出品されている。「Helios Square」で検索してみよう

まずは、安価にスクエアボケが楽しめるレンズを紹介しよう。

ヘリオス44-2 58ミリF2は数千円で買えるロシアレンズだ。ビオターコピーとして知られているが、製造数も多く、安価な個体が市場にたくさんある。このヘリオスをスクエア絞りに改造したのが本レンズだ。スクエアの絞りプレートを取り付けるという強引な改造だが、真四角のスクエアボケが手軽に楽しめる。

この個体は絞り穴のサイズが固定だが、絞り込める改造ヘリオスも時折見かける。ちなみに、絞りリングを回すと絞りプレートが回転し、スクエアボケの角度が調整可能だ。

絞り羽根ではなく絞りプレートなので、絞り調整はできない。この個体に関しては、絞りリングを回すとスクエアの向きが回転する仕様だ。

Helios 44-2 58mm F2(スクエア絞り)

中古価格:5,000~9,000円。ぐるぐるボケが出やすいことで有名なロシア製標準レンズだ。この個体の製造は1973年で、スクエア型の絞りプレートに改造されている。

KF-42E2

税別価格:3,500円。M42マウントレンズをソニーEマウントボディに装着する。アダプター側面のネジを緩めると、レンズ指標の固定位置を調整できる。

α7II+Helios 44-2 58mmF2 絞り優先AE スクエア絞り 1/1250秒 -0.7EV ISO100 AWB RAW

絞り穴のサイズは固定で、大きめのスクエアボケが写し出される。絞りリングを回し、スクエアボケを見栄えの良い角度に調節して撮影した。

 


<玄光社の本>

オールドレンズ・ライフ 2017-2018

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura

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