キャラクターイラストにおけるヘアスタイルは、その人物の個性を印象付ける重要な要素です。描ける髪型のレパートリーが増えれば、キャラクター表現の幅が拡がります。
「キャラクターデザインのための髪作画」では、イラストレーターの夏目レモンさん、ネコサンさん、maruさん、葉月ナツさんによるヘアスタイルの作例を多数収録。アタリからラフ、線画、着色のほか、メインに解説したヘアスタイルのアレンジ例も3パターン用意しています。監修はヘアメイクアップアーティストのAKIさん。
本記事ではPart1「髪を描く基本」より、髪型を構成する4要素のうち「前髪のスタイル」について抜粋して解説します。
4. 前髪のスタイルを決める
イメージに合わせて前髪の長さを決める
前髪はまゆを基準に、短いと明るく幼い、長いとアンニュイで大人っぽい印象になります。まゆ下より長い前髪はサイドに流してつなげるイメージ。
前髪の形のラインを決めよう
前髪のカットラインで、顔のりんかくの印象が変わります。「まっすぐ」「ラウンド」「アシメントリー」の3種類が代表的で、幅は目尻の位置が基本です。
まっすぐ
パッツンと切りっぱなしにしたような直線のライン。そのままだと凛とした印象だが、毛先にハーフカールをつけると、やわらかい雰囲気になる。
ラウンド
両端のこめかみに向かって長くなり、丸いカーブを描いたライン。かわいらしい印象になるのが特徴。前髪の両端は、サイドに自然につなげるのがコツ。
アシンメトリー
左右の長さが非対称なライン。トレンド感があり、おしゃれで大人っぽい雰囲気に仕上がるのがポイント。個性的なファッションにも似合う。
バランスよく見える前髪の分け目の比率
前髪の分け目は、基本的に「センター分け」、「7:3」、「6:4」がバランスよく見える比率です。また、あえて分け目をつくらず、前髪の存在感を出す髪型もあります。
センター分け
前髪を中央から左右に分けるスタイル。顔の正中線を基準にして左右対称になるように分ける。大人っぽい雰囲気になる。
7:3分け
前髪を左右に7:3の比率で分けるスタイル。きっちりと分けるのではなく、ふんわり分けるとフェミニンに。
6:4分け
前髪を中央から少しずらし、6:4の比率で分けるスタイル。センター分けよりも、やわらかくあか抜けた印象になる。
7:3ななめ分け
前髪を左右に7:3の比率でサイドに流すように分けるスタイル。すっきりとしたシルエットで、上品で女性らしい。
6:4ななめ分け
前髪を左右に6:4の比率でサイドに流すように分けるスタイル。動きがありながらも、ナチュラルに仕上がる。
前髪の毛量と深さを意識して描き分ける
前髪の幅に対して毛量が多いことを「重く」、少ないことを「軽く」といいます。前髪を頭頂部近くからとることを「深く」、生えぎわ近くからとることを「浅く」と表現します
毛量:軽い/深さ:浅め
前髪を浅く軽くすることで、額の肌がうっすらと透け、あどけなく見える。束感の間隔によって印象が変わる。
毛量:普通/深さ:普通
基本となる毛量と深さで、前髪に適度な束感がある。バランスがよくナチュラルな仕上がりになる。
毛量:重い/深さ:深い
前髪を深くとり、重めの前髪にすることで立体感が出る。凛とした印象や落ち着いた雰囲気になる。