撮影時のコンディションとして最も基本的で重要な要素は「光」です。撮影者は光が足りなければ照明を用意し、明るすぎればフィルターなどで露出を調整します。光の当て方一つとってもノウハウがあり、撮影者にとって光の使い方、付き合い方は永遠のテーマといえるでしょう。
「自然光だけで美しい ポートレートのつくり方」では、私たちの最も身近にある自然光だけを使ったポートレート撮影をテーマとして、基本的な考え方やノウハウを作例とともに解説しています。
本記事ではChapter1「写真は光と影」より、ポートレートのモデルを美しく写すための考え方について解説します。
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モデルらしさを切り取りたい
ポートレート写真では、モデルをどう撮ればいちばん輝くのかを考える。
美しい部分を際立たせる
横顔と瞳
ポートレートを撮るうえでは、僕はまず、そのモデルらしさとは何かを考える。そして、自分から見た美しい部分を引き出すようにしている。たとえば、話していて笑顔の素敵な人だと思ったら、笑顔を引き出すような空気感作りを意識する。
それと合わせて、構図や背景など、自分がどういう写真が好きかを自分の中で具体的にイメージする。その上で、モデルをどう撮ればいちばん輝くのか、自分の中で落としこむわけだ。
ただし、自然光で撮ると、晴れているか曇っているか雨なのかというように、最初にイメージしていたとおりにならないことがある。そのときでも、いろいろ考えて思い付きを試す、トライアルアンドエラーを大切にしている。
作例を見てみよう。「横顔と瞳」の写真は、モデルの瞳が綺麗だったのと、横顔が美しかったので、横から見た片目にピントを合わせて、瞳を際立たせた。
「横顔とスポット光」も、同じように横顔で瞳を際立たせた写真だ。この写真は、背景が暗い中でスポット光に照らされたモデルが綺麗だと思って切り取った。
これらをとおして見えてくるのが、モデルが美しいと思った瞬間を切り取るということだ。
横顔とスポット光
どんな表情を見せてくれるか想像する
楽しそうに歩く
「楽しそうに歩く」は、恋人のように追いかけっこしながら撮った。このモデルはそうした遊び心がうまくはまって、楽しそうに写ってくれたのが成功した。
一転して、同じモデルがクールな表情も似合うのかなと思って撮ったのが「クールな表情」だ。
このように、どういう表情を見せてくれるかも、やってみないとわからない。モデルをよく観察して、どんな空気感の中にいるといいか常に感じ取って、バシッと自分の中で来るものがあれば、そのときに撮るというイメージだ。
クールな表情