カメラを買い、それなりの期間撮影をしていても、特別に機会を作らないと縁遠いままになりがちな撮影ジャンルのひとつが、ポートレートです。相手が必要なこともあり、本格的に始めようと思えば何かと手間暇かかることもあるでしょう。
「ポートレートを始めよう!モデル撮影はじめてBOOK」では、ポートレート撮影に主軸を置いたイベントである「撮影会」について詳細に解説。著者は自身でも撮影会を主催しているプロフォトグラファーの河野英喜さん。実際にいくつかの撮影会へ参加し、撮影会の種類や準備する内容、参加時の注意点などを作例とともに紹介しています。
本記事ではPart2「撮影会に行ってみよう」より、ハウススタジオで実施した1対1撮影会の参加事例を紹介します。
ハウススタジオでの1対1撮影:[マシュマロ撮影会の場合]
どんな撮影会?
- 1部/50分間の時間内で、1人のモデルと1人のカメラマンで撮影
- 同じ時間内に最大8組が撮影し、ハウススタジオをシェア
- スタジオ内は自由に移動可能(他のカメラマンと譲り合い)
- 1部(9:30~)から9部(17:30~)までの時間帯で、モデルを選んで事前予約
ハウススタジオの魅力とポイント
リアリティがある空間
見慣れた風景やリアリティがある空間を撮れるのが、ハウススタジオでの撮影の魅力です。シチュエーションが異なる部屋が用意されていることも多く、いろいろな雰囲気の写真が撮れます。もちろん、スタジオによってその様子は異なるので、ホームページで見てみたり、他の人が撮った作品を見たりして確認してから予約しましょう。
Kono’s Advice:撮影ポイントがわかりやすい
ハウススタジオの場合は、「ここで撮ったらよい」という撮影ポイントがうまく作られている場合が多いです。ですから、1対1の長時間撮影にはまだあまり慣れていない撮影会初心者にもおすすめです。
今回利用したのは、さまざまな撮影シチュエーションが用意されている「スタジオリップ 明大前スタジオ」。窓の数が多くて採光が良く、比較的広いので引きの写真も撮りやすくなっています。
参加方法と持っていきたい機材
事前の予約が必要
マシュマロ撮影会の個人撮影に参加するには、まずホームページで参加したい回を選びます。1対1の個人撮影の場合は、撮りたいモデルと時間帯を選んだら「ご予約はこちら」をクリックすると、パスマーケットという決済システムにジャンプするので事前にチケットを購入します。
50mm単焦点のレンズ+α
ハウススタジオでは、50mm単焦点レンズの方が距離感がとりやすいです。プラスして24-70mmズームレンズを持っておくと、引きが撮れるようなスペースがある場合に対応しやすいでしょう。照明はなくてもOKです。今回はLED照明とクリップオンストロボを持っていきましたが、結局LED照明は使いませんでした。
今回参加したのは
スタジオリップ[明大前]個人撮影会(マシュマロ撮影会)
場所:スタジオリップ – 明大前スタジオ(東京都世田谷区)
時間:2部(10:30~11:20)
参加費:9,100円~1万3,500円/1部(モデルにより金額は異なる)
モデル:宵伽うゆ(Twitter @uyu_yoitogi)
河野英喜が実際に参加してみた!
10:30 撮影の最初は、外さない場所で
当日は、自分が参加する回の10分前を目安にスタジオに入り、受付を済ませます。あまり早く行っても前の回の人が撮影しているのでじゃまになってしまいます。
撮り始めすぐは、カメラマンもモデルもまだ馴染んでいなくてお互い緊張しているもの。できれば、まずは明るい撮りやすい場所から始めます。モデルにも積極的に撮った写真を見せてコミュニケーションを取っていきましょう。
Kono’s Advice:カメラの液晶モニターをモデルに見せる時も注意
モデルに液晶モニターを見せる時、馴れ馴れしく至近距離で見せないように、ちょっとだけ注意しましょう。もちろん、お互い慣れてきたら、それに合わせて気負わず接します。
こんな風に撮れた!
Model’s Voice
どこに顔や視線を向けてほしいか、言ってもらえるとやりやすいです。どんどんリクエストしてください!
10:41 いろいろな光を探してみよう
この日は曇りがちだったのですが、急に光が差してきたので窓際へ。レースのカーテンを一枚挟むと、光がやわらかくなり、影もやわらかくなります。全身が写っている場合は伝えてあげるとモデルもやりやすくなります。
部屋にドレッサーがあったので、「鏡を見ている彼女に、透明人間になって接近した!」というシチュエーションを思い浮かべて(笑)、撮影してみました。脇にあるライトの色で、ふんわりとしたやわらかい雰囲気となり、よりプライベート感が出ました。
「鏡に映っているモデル」を撮るのも、おもしろい写真になります。その場合は鏡の枠や実際の頭が入るようにして、「鏡に映っている」ということをわかりやすく表現しましょう。
Kono’s Advice:周りのカメラマンにも注意
上の写真を見てもわかるように、すぐ隣では他のモデルとカメラマンが撮影しています。他の人の構図に入らないように注意しましょう。お互いに譲り合って気持ちよく撮影しましょう。