私たちがネットショッピングをするとき、購入の決め手になる要素のひとつが「写真」です。商品の詳細や使用イメージなど、想像していた通りの商品かどうかをある程度知りたいときは、百の言葉よりも一枚の写真の方が説得力を持つこともあるでしょう。
「ネットショップ初心者でも売れる商品写真の基礎知識とつくり方」では、ECショップにおいて効果的な写真の性質や撮影時の留意点をカテゴリごとに紹介。商品撮影をカメラマンに依頼する際のディレクションについても触れつつ、SNS戦略、カートシステムにいたるまで、ECショップ内の画像にまつわるあらゆるテーマを網羅し解説しています。
本記事ではChapter3「効率的に写真を用意する方法」より、撮影の段取り、進行管理について説明します。
撮影の準備と進行管理術
撮影は段取りが大事
フォトグラファーに撮影を依頼する場合はもちろんのこと、自身で撮影する場合でも撮影の準備と進行管理術を知っていると写真のクオリティがぐんと上がります。
特に(天候などの)外的要因の多いロケ撮影では、準備・段取りや当日の進行をしっかり考えておかないと、撮りたいものが撮れなくなる、といった事態も起こり得ます。
再撮影になると追加でお金や時間が発生してしまうので、事前にやるべきことを明確にしておきましょう。
香盤表で行き当たりばったりを避ける
光の調整や各種セッティングのしやすいスタジオ撮影と違い、天候や周囲の環境に影響を受けるロケ撮影の場合、あらかじめ撮影の工程を決めておく必要があります。
このとき、撮影リストにプラスして「香盤表」を用意しておきましょう(スタジオ撮影でもあると安心ですが、点数の少ない物撮り撮影などでは必須ではありません)。
香盤表とは当日の進行予定を記したもので、たとえば9時にビーチで歩いているカットを撮影、18時に夕日を撮影、といったように時間軸に沿って撮影する内容と順番をリストにした資料です。
ロケ撮影の場合は自然光で撮影することも多く、太陽の位置が重要になってきます。事前に決めた時間通りに進めないと撮影できなくなってしまうので、撮影前にどのカットから撮影するか順番を決めて香盤表に落とし込んでおきます。
それ以外に、自身で撮影内容を整理・確認するのにも役立ちますし、フォトグラファーをはじめ、撮影スタッフと情報を共有する意味でも重宝します。ぜひ用意しておきたいものです。
ロケハンで撮影場所の選択や確認を行う
香盤表を作成する際に参考になるのが、ロケハンです。ロケハンとはロケーション・ハンティングの略で、文字通り撮影場所を探すこと、または撮影場所の下見という意味でも使われます(ここでは「下見」の意味で使います)。あらかじめ撮影場所を下見しておくことで、香盤表の精度を上げることにつながります。
逆にロケハンなしに、初めて行く場所で撮影しようとすると、撮影場所が期待していた背景やシチュエーションではなかったり、工事中などで撮影自体が困難な場合もあります。こうしたリスクを下げるため、事前に下見をしておくのです。
ロケハンで確認すべきポイントは光源(=自然光の場合は太陽の位置)と被写体の位置です。
朝と夕方で太陽の位置は変わるので、被写体、特に建物や動かせないものの場合は撮影に最適な光の位置をあらかじめ見定めておく必要があります。
たとえば「カフェのオープンテラス席で談笑しているシーン」の写真が必要な場合、最もそのシーンに適した光(=太陽の位置)が午前10時だったとします。そうすると、そのシーンは午前10時に撮影するしかないわけです。
このように必要な写真を撮影する時間帯をロケハンで確認し、それを香盤表に落とし込んでいきます。撮影場所や時間帯の段取りをせずに撮影に臨んだ場合、最高の瞬間を逃してしまうことになります。
また、光だけでなく「この場所で◯◯を撮る」といったことを決めたり、撮影場所に禁止事項や事前申請の必要がないかを確認し、イレギュラーな事態がなるべく起こらないように下調べをしておきます。当日必要になる小道具なども、ロケハンの時点で前もって確認しておきましょう。
理想は、撮影リストの作成から始め、ロケハン、香盤表の作成といった順番で進められるとよいでしょう。