撮影時のコンディションとして最も基本的で重要な要素は「光」です。撮影者は光が足りなければ照明を用意し、明るすぎればフィルターなどで露出を調整します。光の当て方一つとってもノウハウがあり、撮影者にとって光の使い方、付き合い方は永遠のテーマといえるでしょう。
「自然光だけで美しい ポートレートのつくり方」では、私たちの最も身近にある自然光だけを使ったポートレート撮影をテーマとして、基本的な考え方やノウハウを作例とともに解説しています。
本記事ではChapter3「ポートレートが際立つ かんたんテクニック」より、背景の整理方法について解説します。
背景を整理して人物を引き立てる
写真は引き算だ。明確に見せたいものを意識して、画面を構成しよう。
見せたいものだけをフレーミング
花と人物だけに要素を絞る
背景と人物のバランスを考えるうえで、大事な原則は「写真は引き算」という言葉だ。つまり、伝えたいものが明確になって、余計なものを画面に入れないようにする。
これは、「シンプル」というのとは少し違う。明確に見せたいものだけを見せることを意味している。心構えとしては、写真に写っているものにはすべて責任を持つ。自分が好きなものだけで構成されるようにして、たまたま写ったというものがないようにする。そして、納得を持ってシャッターを切るということだ。
そのためには、背景を整理する。僕が講師を務めた写真教室「Lovegraphアカデミー」で、いちばん口をすっぱくして言っていたのが、この背景の整理だ。たとえば、「花と人物だけに要素を絞る」の写真は、花とモデルをメインに写していて、ほかの要素を極力カットしている。このように、僕の写真は要素が少ないものが多い。
ただし、たとえば花の綺麗な公園となると、どうしてもまわりに人が多くなってしまうことがある。そんな時は、ローアングルで撮ることで、まわりの人が写らないようにして、背景を整理するというのもよく使う手法だ。
背景を整理する
なお、さきほど「シンプルとは違う」と書いたように、背景を整理しつつ、たとえばポーズに絡めて手すりをワンポイントに加える場合もある。あくまで、自分の意図したものだけで構成されるようにすることが重要だ。
背景に余計なものが入らないようにするには、壁を背景にするという手法もある。あるいは、空や海などをバックにしても、背景が整理される。こうすることで、主被写体である人物にわかりやすく目を向かせることができる。
空と海と人