撮影時のコンディションとして最も基本的で重要な要素は「光」です。撮影者は光が足りなければ照明を用意し、明るすぎればフィルターなどで露出を調整します。光の当て方一つとってもノウハウがあり、撮影者にとって光の使い方、付き合い方は永遠のテーマといえるでしょう。
「自然光だけで美しい ポートレートのつくり方」では、私たちの最も身近にある自然光だけを使ったポートレート撮影をテーマとして、基本的な考え方やノウハウを作例とともに解説しています。
本記事ではChapter2「基本のカメラ設定と考え方」より、ロケ地の探し方、選び方について紹介します。
撮影イメージと撮影場所を事前に考える
ロケ地は、日頃からアンテナを張っておいて、撮りたいイメージやモデルに合わせて選ぼう。
普段からまわりの風景にアンテナを張る
日常でいいなと思った場所を撮っておく
影の背景に使う場所は、撮ろうと思ってから探しても、なかなか見つからないものだ。そこで、普段、近所を歩いたり車などで移動したりしているときに、まわりの風景にアンテナを張っておきたい。
僕は日頃の散歩でも、いいなと思った場所はカメラを持っていればカメラで、そうでなければスマホで写真に撮っている。さらに地図アプリのスクリーンショットもとって、まとめたりしている。最近のカメラでは写真に位置情報を埋め込めるので、それを使って整理してもいいだろう。
たとえば、桜の咲いている公園や、味わいのある町並み、ちょっとレトロな建物、あるいは背景に使えそうなシンプルな壁や地面などを収集して、自分の引き出しを増やしている。
そして、撮影場所を考えるときに、収集しておいた情報の中から、撮りたいイメージやモデルなどに合うものを選んで撮影に使う。
地図アプリのスクリーンショットで場所を残す
イメージに合う場所を選んで撮影
個人的に気をつけているのは、自分だけの撮影場所を見つけることだ。インスタ映えスポットとして有名な場所は、たしかに綺麗だが、僕はめったに行かない。それよりは、パッとは目を引かない場所でも、自分で見つけたお気に入りの場所で撮っている。SNSを参考にするにも、有名スポットはなるべく避けている。ちなみにSNSで見つけた撮影場所はPinterestでコレクションしている。
ロケハン時の写真
そのほか、撮影場所や構図の引き出しを増やすのには、雑誌や映画、ドラマ、マンガなどにもアンテナを張っている。たとえば、映画やマンガなどを見ながら、何mmぐらいのレンズでこういう構図で撮っているな、と考えたりする。
特におすすめは雑誌だ。プロのカメラマンや編集者、スタイリストなどが集まって、洗練された写真を作り出している。最近では雑誌のサブスクリプションサービスもあるので、その中からセンスのいい雑誌に目を通しておくと、リッチなコンテンツに触れられ、アイデアも磨かれると思う。
実際に撮影した写真