「押せばそれなりに写る」のがデジタルカメラの良いところですが、自分なりの表現を突き詰めたいと考えたときには「それなり以上」の使いこなしが求められるもの。高性能化が進み「可能なこと」が増えた現行世代のデジタルカメラにおいては、把握すべき事柄も増え続けています。
プロカメラマン・河野鉄平さんによる「デジタル一眼カメラ 知っておきたい撮影の基礎知識200」では、デジタルカメラの仕組みや特性、各種機能の使いどころ、構図の作り方、光の捉え方などなど、カメラ、ひいては「写真」を理解する上で必要となる基礎的な知識を掲載。個々の項目は細かく区切られており、確認したい知識をすぐに参照できる工夫がなされています。
本記事では、PART3「写真表現を左右するアイテムについての必須項目55」より、安定する三脚の使い方について解説します。
三脚はしっかり開脚しカメラは最後にセットする
3本の脚は均等に伸ばし立ち位置のスペースも確保する
三脚を立てる際にもっとも重要なことは、安定感を得るために落ち着いてセットすることです。仮にシャッターチャンスが重要な場合でも、焦ってセットしてはいけません。慣れてくれば、素早く組み立てできるようになるものです。
基本的に3本の脚は均等に伸ばしてしっかり開き、安定させます。自分の足をぶつけないように、
- 脚をレンズの方向に伸ばします。
- 脚は左右に開きスペースをつくります。
カメラは脚をセットしてから雲台に取り付けます。三脚座付きの望遠レンズの場合は、カメラボディではなく、三脚座を雲台に取り付けます。撮影はエレベーターで高さを微調整し、ハンドルで構図を確認しながら行います。
三脚をセットする流れ
1. 目視で構図の目安を付ける
最初から三脚をセットしはじめるのではなく、手持ちでおおよその構図、カメラ位置を決めておきましょう。
2. 3本の脚は太いほうから均等に伸ばす
三脚は脚径の太い上段から伸ばします。脚を途中で止める場合は、脚を開かず揃えて伸ばすと脚の長さを均等にセットできます。
3. 脚はしっかり広げる
脚はしっかり開ききって使うのが基本です。広げたら一度三脚を軽く上から押さえ、安定感を確認します。
4. 1脚はレンズ方向に出す
三脚の脚はレンズ方向に1脚を、残りの2脚は左右に広げるようにセットすると、脚部に足がかかりにくくなります。また、重い機材をセットする際も、手前に1脚あるため、前に三脚が倒れにくく安定します。
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5. カメラを雲台に取り付ける
カメラは脚を伸ばしてから雲台に取り付けます。先に取り付けてしまうと、脚を伸ばすときにバランスが崩れやすくなります。望遠レンズは三脚座を使います。三脚座を使わないと、重心が前に出てしまい、倒れやすくなります。
望遠レンズの三脚座。三脚座は重心を安定させるためだけでなく、縦横の切り換えがスムーズに行えることも大きな特徴です。
6. エレベーターやハンドルで微調整する
脚の長さである程度の高さを決め、カメラを取り付けたら、最終的に雲台のハンドルやエレベーターで構図を最終調整し撮影を行います。
7. リモートコントローラーを使う
三脚を使った撮影では、リモートコントローラーを使うことも多いです。直接シャッターボタンに触れないため、カメラが動いてブレが生じる心配を回避できます。