デジタルカメラが持つ利点の一つは「それほど枚数を気にせず撮影できる」ことでしょう。数百枚、数千枚と撮影できるのは、フィルムカメラには真似のできない技術の恩恵です。その一方で、近年においては紙焼きのアナログ写真も再評価されており、あえてフィルムカメラを選ぶ人々も増えています。
幅広い世代に人気のフィルムカメラですが、フィルムのコストもなかなか無視できないもの。できれば、デジタルの手軽さでフィルムの味のある写真を撮ってみたいものですよね。
RAW現像ソフト「Adobe Photoshop Lightroom」には、現像パラメータを「プリセット」として保存できる機能があります。露光量や色温度、ハイライトやシャドウのみならず、色相や彩度、粒状感などなど、多岐にわたる項目が調整できるようになっています。
書籍「デジタルでフィルムを再現したい」の著者でもあるフォトグラファーの嵐田大志さんが監修・製作した「フィルムルック・プリセットデータ」は、かんたんにフィルムの風合いを再現できるプリセットファイルの詰め合わせセットです。価格は税込5500円。
設定できるプリセットとしては、一般的なフィルムの味付けを想定した「ベースプリセット」1種類に、実在するフィルムの色味を再現した「WARM」「COOL」「REVERSAL」「B&W」の4種類を加えた計5種類を用意。自分なりにこだわってプリセットを作るのも楽しいものですが、プロのフォトグラファーが監修したプリセットで、アナログ写真を再現してみるのもまた一興ではないでしょうか。
嵐田大志オリジナル フィルムルック・ プリセット(5点セット)販売ページ
以下に嵐田さんによるプリセット作例を掲載します。
ベースプリセット(左がBefore、右がAfter。以下同)
WARM:粒状性があり温かみのある描写が特徴の「Kodak PORTRA 400」風
COOL:自然で落ち着いた色調の「FUJIFILM PRO400H」風
REVERSAL:ポジフィルムらしい鮮やかで個性的な映りが魅力の「FUJIFILM PROVIA100F」風
B&W:豊かな階調とシャープな描写で根強い人気を誇る「FUJIFILM NEOPAN 100 ACROS」風
プリセットの読み込みは、Lightroomの「ファイル」メニューから「現像プロファイルとプリセットを読み込み」を選んで、ダウンロードした「.xmp」ファイルを選択すると完了です(Windows 10現行バージョンの場合)。
写真への適用は、Lightroomの左カラムにある「プリセット」の「ユーザープリセット」から適用したいプロファイルを選べばOK。
せっかくなので、PICTURES編集部員が撮った写真を、それぞれのプリセットに適用した例も下に掲載します。デジタルカメラで撮った写真が、手軽にフィルムらしい風合いに切り替わっていくのを見るのは、ちょっと不思議で楽しいものです。
左が明るさのみ調整したストレート現像、右がプリセットを適用した作例です。
プリセットは玄光社の直販サイトから購入できます。