カメラを買い、日常的に写真を撮るようになると、思っていた以上に「光」の重要性に気づくのではないでしょうか。自然光を使い、自分なりに工夫して撮るのも楽しいものですが、ストロボを使って光をコントロールできれば、屋内、屋外問わず、様々なシーンでクオリティの高い写真が撮影できるようになります。
「はじめてのクリップオンストロボ」では、外付けのストロボ、いわゆるクリップオンストロボの使い方をやさしく解説。ストロボの使いどころやその効果を豊富な作例でわかりやすく紹介しており、実践するシーンをイメージしやすい点が特徴です。そのほか、露出の基本からシンクロ撮影、オフカメラ撮影などの応用テクニックまでカバー。近いシーンを自分で用意し、実践を繰り返すことで、確実に上達できる一冊にまとまっています。
本記事では、Chapter3「写真表現の幅が広がるシンクロ撮影を学ぼう」より、昼間の屋外で撮影する際に便利な「日中シンクロ」についての解説を掲載します。
明るい昼間にストロボ発光する「日中シンクロ」ってなに?
オンカメラ・ストロボの屋外撮影でよく使うテクニック
日中シンクロとは、明るい屋外で強制的にストロボを発光させて、影の暗い部分を明るく照らすテクニック。設定は、クリップオンストロボの電源を入れて、TTLオートで被写体にストロボを向け、シャッターボタンを押すだけです。
逆光で暗くなった被写体を露出補正で明るくしたら背景が白飛びしてしまった、強い日差しで被写体に濃い影ができてプラス補正をしても光と影の陰影が変わらないというように露出補正では対応できないシーンに有効です。
逆光を日中シンクロで撮影
人物も背景の富士山も両方描写したい時、まずカメラをマニュアル露出に設定します。富士山に露出を合わせて、暗くなった被写体にストロボを向けて発光すると、背景も被写体もきれいに撮ることができます。
ストロボなし
空の色を出すため富士山に明るさを合わせたら、逆光で被写体が暗くなってしまいました。
プラス補正
被写体に明るさを合わせると、富士山や海が白飛びして消えてしまいました。
日中シンクロの手順
1. 背景に明るさを合わせる
カメラの設定はマニュアル露出で背景の明るさに合わせます。
2. ストロボを発光する
クリップオンストロボの電源を入れ、TTLオートに設定し、ストロボを被写体に向けて発光します。
3. 全体の明るさを整える
撮影した画像で明るさを確認します。背景の明るさを変えたい時はISO感度で、被写体の明るさを変えたい時は調光補正で調整します。
ストロボを発光しても人物が暗い!と感じたら調光補正で調整
夏のように日差しが強いと、日中シンクロを使っても太陽の光の方が強く、ストロボ効果があまり出ない時があります。その場合は、さらにストロボの光量を強くする必要があります。調光補正をプラスにすると、発光量が大きくなり、夏の強い日差しでできた濃い影を薄くすることができます。
自然光のみ
日中シンクロ 調光補正± 0
日中シンクロ プラス補正
日中シンクロで帽子の影を柔らかくする
ポートレートは表情が大切
夏の日など、日差しが強い時は帽子をかぶって出かけることが多くなります。帽子をかぶって写真を撮ったら、帽子の影で「顔の上半分が暗くなってしまった」ということがありませんか?
そのような場合もストロボ撮影が効果的です。日中シンクロでストロボの角度を被写体に向けて、直当てで発光。ストロボの光で帽子の影を飛ばし、陰影を弱くすることができます。
この時、帽子を深くかぶってしまうと、モデルの顔が見えにくくなってしまいます。帽子は少し上に傾けて、浅めにかぶってもらうとようにしましょう。表情がしっかり見えると、イキイキとした印象的なポートレートになります。
Point
- モデルは帽子を深くかぶり過ぎない
- 顔に濃い影ができたらストロボを発光!
- 日中シンクロは被写体に直当て発光
サイド光は顔に影がつきやすく、ほうれい線のシワが目立ちやすくなります。ストロボを直発光して、シワの影を飛ばしました。