カメラを買い、日常的に写真を撮るようになると、思っていた以上に「光」の重要性に気づくのではないでしょうか。自然光を使い、自分なりに工夫して撮るのも楽しいものですが、ストロボを使って光をコントロールできれば、屋内、屋外問わず、様々なシーンでクオリティの高い写真が撮影できるようになります。
「はじめてのクリップオンストロボ」では、外付けのストロボ、いわゆるクリップオンストロボの使い方をやさしく解説。ストロボの使いどころやその効果を豊富な作例でわかりやすく紹介しており、実践するシーンをイメージしやすい点が特徴です。そのほか、露出の基本からシンクロ撮影、オフカメラ撮影などの応用テクニックまでカバー。近いシーンを自分で用意し、実践を繰り返すことで、確実に上達できる一冊にまとまっています。
本記事では、Chapter1「クリップオンストロボをオートで使ってみよう」より、フルオート設定で被写体の陰影を柔らかくして撮る方法を紹介します。
カメラもストロボもフルオートでふんわり撮る
窓際の光でできた陰影をストロボで柔らかくする
窓際での撮影は外からの光の影響を受けやすく、窓からのサイド光で窓側の顔は明るく、室内側の顔は暗く明暗差ができます。立体感が出るように撮るならストロボは使いませんが、広告写真のように顔の明暗差が少なく、明るい写真にする場合はストロボを発光します。天井バウンスを使うと部屋全体に光が拡散され、明るいイメージに仕上がります。
便利なTTLオートですが、万能ではありません。窓から自然光がたくさん入る明るい室内で、被写体に近づいて天井バウンスすると、光が回り過ぎて明るくなり過ぎることもあります。私は被写体から、2~3メートルは離れて撮影するようにしています。
Point
- 室内撮影をする際、まずは天井バウンスを試す
- ストロボ撮影は被写体に近づき過ぎない
- ストロボを使うか使わないかは、撮り比べて判断する
ストロボを真上に向けTTLオートで発光。天井で跳ね返った柔らかい反射光が、被写体を明るく照らしました。
ストロボなしで撮影すると…
露出補正でモデルの顔を明るくしましたが、これ以上明るくすると外の風景が真っ白に飛んでしまいます。顔に明暗差も出ているので、天井バウンスで被写体を明るく照らすことにしました。
良い白飛び・悪い白飛びを考える
写真の明るさの解説で、必ずと言っていいほど出てくる言葉が「白飛び」です。白飛びとは、写真を明るくし過ぎて、真っ白になった状態のこと。一般的に「白飛び=良くないもの」と考えられていますが、私はハイライトなど写真の要素で重要でない部分の白飛びはアリだと思っています。主役や背景の見せたい部分の白飛びはNGです。下の作例のように主役の白い服が白飛びしそうな場合は、調光補正や露出補正で調整します。