私たちがスマートフォンで写真を撮るのはもはや日常です。でも、フィルムカメラで撮ったアナログ感のある写真も素敵ですよね。扱いが難しい印象のあるフィルムカメラですが、いくつかのことに気をつけておけば、実はそれほど難しくありません。
「フィルムカメラ・スタートブック」は、現在写真機として主流にない、フィルムカメラの実用に焦点を合わせた書籍です。
フィルムカメラを扱う上での注意点から、取り上げた機種ごとの特徴や使い方、いま手に入るフィルムなど、本格的にフィルムカメラを使っていく上で必要な情報を網羅しており、「実際にフィルムカメラを使っている人が、どんなところに魅力を感じているのかを知りたい」「フィルムカメラの使い方を勉強したい」といったニーズに応える内容となっています。
本記事では「CONTAX Aria」の使用感と作例についての記述を抜粋して紹介します。
CONTAX Aria
写真家の蜷川実花さんが使っていたことで一躍人気、知名度ともに高まったのがこのコンタックス Ariaです。一眼レフでありながら小型軽量で、コンタックスの一眼レフシリーズのなかでもっとも軽いモデルとなっています。「ツァイス」ブランドの各レンズを使えるのも魅力のひとつ。
コンタックスの一眼レフでいちばん軽いモデル
コンタックスAria(以下、アリア)は、小型軽量が特長のMF一眼レフカメラです。露出計を内蔵したコンタックスの一眼レフカメラの中では最もコンパクトです。
コンタックスの一眼レフカメラというと、RTSⅢ、AX、RX、S2、S2bなどが有名です。しかし、S2、S2bを除いて、どのカメラも大きくて重いものが多く、熟年層や女性ユーザーをターゲットに小型軽量のアリアをリリースしました。ボディのみの重さは460gで、コンタックスの最高級機RTSⅢの半分以下の重量となっています。機種名の「アリア(歌曲の独唱)」は、写真によって感動や楽しみを体験してほしい、との思いを込めて命名されました。
コンタックスといえば、高性能であるカールツァイスのレンズ(以下、ツァイスレンズ)を装着できることで知られています。ツァイスレンズは大きくて重いものばかりですが、アリアのボディは適度な大きさと重さで、うまくツァイスレンズとのバランスが取れるようになっています。 アリアの特徴としては、コンタックスの一眼レフとしては初めて露出計に評価測光(5分割)が採用されたことが挙げられます。これによって、逆光状態など測光が難しい状況でも、露出補正をすることなく簡単に標準露出が得られるようになりました。
詳細はこのあとご紹介しますが、アリアは小型軽量で、初心者から上級者まで幅広く使える高機能な一眼レフカメラに仕上がっています。また、ツァイスレンズを装着したときのバランスが良いのも魅力のひとつです。さらに、評価測光を採用したことにより、初心者でも気軽にツァイスレンズの美しい描写を楽しめるようになりました。
初心者から上級者まで自分のレベルに合わせて使えるのが素晴らしい!
アリアは普及機として作られたカメラですが、非常によくできていると思います。撮影に必要な機能を完備しているので、アリアを見ると「万能」という言葉が頭に浮かびます。初心者でも上級者でも、自分のレベルに合わせて使える貴重なカメラです。
アリアの最も気に入っている点は、ツァイスレンズが使えるところです。今回の撮影で使用しているプラナー T*50ミリF1.4レンズは、美しい発色、品のあるボケ、その場の空気まですくいとるような繊細な描写がとても魅力的です。装着しているだけで、撮影者のテンションを上げてくれます。
アリアは女性をターゲットにつくられたこともあり、現在も著名な女性写真家が使用していたりします。そのため、アリアを欲しがる方は女性が多いように感じますし、実際、軽くて扱いやすいため女性におすすめです。
しかし、人気ゆえに現在、市場での価格が高騰しています。コンタックスの最高級機RTSIIIよりもアリアのほうが高額に設定されていることもあります。また、電気系統を使用したカメラのため、故障も起こりやすいのでご注意を。
このカメラの使い方や特徴を知る
下記では、本機の魅力の一端を紹介します。
デザイン
ボディのフォルム、ダイヤルなどの操作部の形状は、RXなどのコンタックス一眼レフカメラと非常に似ています。しかし、アリアはこれまでの重厚なデザインを継承しながらも、手にぴったりとおさまるホールディングの良さと適度な軽量感を実現しています。各ボタンは視認性に優れていて、クリックは明快でカチッと決まるので使いやすいです。
ボディ上部の右側にシャッターボタンがあり、その周囲がメインスイッチになっています。スイッチレバーを1段動かすと電源ONになります。
評価測光
アリアの最大の特長は、コンタックスの一眼レフカメラとしては初めて評価測光を搭載したことです。もちろん、従来からあるT TL中央重点平均測光、スポット測光も使用可能です。評価測光はかなり精度が高く、常に想像通りの仕上がりになるので非常に気持ちが良いです。ちなみに、本書に掲載されているアリアの作品はほぼ評価測光・絞り優先モードで撮影しています。
測光モードの切り替えは、アイカップの右横にある測光レバーにて行います。