フィルムカメラ・スタートブック
第5回

はじめてのフィルム一眼レフに最適な「Nikon New FM2」フィルムの入れ方も動画で解説

私たちがスマートフォンで写真を撮るのはもはや日常です。でも、フィルムカメラで撮ったアナログ感のある写真も素敵ですよね。扱いが難しい印象のあるフィルムカメラですが、いくつかのことに気をつけておけば、実はそれほど難しくありません。「フィルムカメラ・スタートブック」は、現在写真機として主流にない、フィルムカメラの実用に焦点を合わせた書籍です。

フィルムカメラを扱う上での注意点から、取り上げた機種ごとの特徴や使い方、いま手に入るフィルムなど、本格的にフィルムカメラを使っていく上で必要な情報を網羅しており、「実際にフィルムカメラを使っている人が、どんなところに魅力を感じているのかを知りたい」「フィルムカメラの使い方を勉強したい」といったニーズに応える内容となっています。

本記事では「Nikon New FM2」の使用感と作例についての記述を抜粋して紹介します。

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フィルムカメラ・スタートブック

Nikon New FM2

ニコン New FM2は、初めての一眼レフにオススメしたい一台です。カメラらしい外観、心地よいシャッター音、丈夫で長く使えるモデルですから、安心感、そして信頼感も得られます。ニコンのカメラは交換レンズも豊富ですから、これ一台でさまざまな写真にトライできます。

Nikon New FM2 + Ai Nikkor 28mm f/2.8S F2.8 1/250 Kodak PORTRA 400 春・曇天 真っ赤に熟したトマトに目を奪われました 。この写真をみると、あのときの自分の気持ちをありありと思い出します。深いことを考えずに最短撮影距離にして、水槽にレンズを押し付けて撮りました。フィルムカメラを使うときは、たまに偶然を楽しむことにしています。
Nikon New FM2 + Ai Nikkor 28mm f/2.8S F2.8 1/500 Kodak PORTRA 400 秋・晴天 バラより壁に写る葉の影の形に惹かれたので、バラではなく影がきちんと写る露出で撮影しました。
Nikon New FM2 + Ai Nikkor 28mm f/2.8S F4 1/1000 Kodak PORTRA 400 秋・晴天 木漏れ日が美しかったのでシャッターを切りました。28mmは私の視野とほぼ同じなので、見たままの感動が写ったように思います。
Nikon New FM2 + Ai Nikkor 28mm f/2.8S F4 1/500 Kodak PORTRA 400 秋・晴天 紅葉が映り込む池の水面に心を奪われました。カメラをやっていなかったらこの世界に気がつけなかったのだろうな……と時々思います。

初心者におすすめのフィルム一眼レフカメラ

1977年5月に発売された機械式35ミリ一眼レフフィルムカメラのニコン「FM」は、1982年3月に「FM2」へ、そして1984年3月に「New FM2」へと進化しました。ニコン New FM2は、2001年にFM3Aが発売されるまでの17年間製造され続けた超ロングセラー機です。

ニコンFMから始まるこの「FMシリーズ」は“コンパクト・ニコン”とも呼ばれたように、当時のプロ仕様機「ニコンF2」に対して、ニッコールレンズを使いやすい一眼レフのボディに装着したいという願いを持つ写真愛好家向けに開発された、ハイグレードな中級機といえます。レンズの絞りと、ボディ上部のシャッタースピードダイヤルを操作して露出を決定します。そして、シャッターレリーズボタンを押して撮影をします。FM2とNew FM2の大きな違いは、ストロボ同調速度です。ニコンFM2は1/200秒ですが、New FM2は1/250秒です。シャッター速度ダイアルの赤字で確認できます。

このように、New FM2は、ピントも露出も撮影者の意思で操作する完全マニュアル機です。露出計以外には電池を使用しません。最高速シャッタースピードは1/4000秒、ストロボ同調速度も1/250秒と、現在のデジカメにも遜色ないスペックです。電池がなくても動作する機械式シャッターが採用されている上、丈夫で使いやすいため、写真の訓練にも最適なカメラです。ゆえにNew FM2は、写真学校の新入生によく「1台目のカメラ」として選ばれています。

写真表現の楽しさを教えてくれたニコン New FM2

それまで写ルンですやコンパクトカメラしか使ったことがなかった自分ですが、New FM2を手に入れてからは「写真表現の楽しさ」を知ることができました。全自動のカメラは構図以外のことを何も考えなくて良いので気軽に使えるのですが「ここにピントを合わせたい」「もうちょっと明るくしたい」「もうちょっと背景をボカしたい」などと一歩先を目指そうとすると、力不足なところがあります。

このNew FM2は完全マニュアル機なので、ピントやシャッタースピードや絞りをすべて自分で操作できます。慣れるのに少しだけ時間がかかるかもしれませんが、一度ピントや露出決定について覚えてしまえば、写真表現の幅がグンと広がり、その後どんなカメラを使っても、写真をより深く楽しめるようになります。

仕事でデジカメを使うようになってからも、迷うことなくイメージ通りの写真が撮れるのは、写真を始めた頃にNew FM2を使っていたおかげだと思っています。

このカメラの使い方や特徴を知る
下記では、本機の魅力の一端を紹介します。

カニの爪 ?!

このレンズは「Ai Nikkor 50mm f/1.4S」。ニコン New FM2で使用できるマニュアルフォーカスレンズです。上部のピントを合わせるフォーカスリングと、下部の絞り設定リングを手動で設定します。レンズの絞り設定リングには「カニ爪」と呼ばれる連動爪が設けられていますが、これはニコマートなどのより古い機種で使用する時に機能します。New FM2では、このカニ爪は使用しません。装着するだけで絞り設定リングがボディと連動します。

前面のプレビューレバー

ボディ正面、レンズ横向かって左側(左下)がセルフタイマー、右側(右上)がプレビューレバーです。撮影時にプレビューレバーをボディ側に押し込むと、ファインダー内で被写界深度を確認することができます。少し暗くなりますが、設定した値まで絞り込まれた状態で「ピントの合う範囲」を見ることができるので、写真の仕上がりをイメージしやすくなります。

Nikon New FM2 フィルムの入れ方

 


フィルムカメラ・スタートブック

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。

ウェブサイト:YURIKO OMURA
ブログ:シャッターガール
Twitter:@Holy_Garden

初著書「フィルムカメラ・スタートブック」発売中
本の制作過程を編集日誌で公開しています

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