写真家 平松伸吾氏は、アジアのチャイナタウンの人々のポートレートとストリートスナップをまとめた写真集「華やかな街の中で」を蒼穹舎から刊行した。著者ウェブサイトと蒼穹舎で販売している。
平松氏は、2000年から現在までライフワークとして横浜、神戸、長崎、台湾、シンガポール、タイといったアジア諸国のチャイナタウンを撮り続けている。スクエアフォーマットのモノクロ写真作品は、湿度の高いアジアの空気感をリアルに再現し、そこに生活する人々の睨みつけるような視線は観る者の視覚を鋭く刺激する。
本記事では、写真集に掲載している作品の一部を公開する。
平松伸吾写真集「華やかな街の中で」掲載作品
<著者リリースより>
この度、蒼弓舎より「華やかな街の中で」という写真集を刊行しました。この写真集は2000年~2011年までの間、横浜の中華街を中心に、アジアに点在するチャイナタウンを撮り続ける中で、2006年に発表した個展「華やかな街の中で」、2007年に発表した個展「華やかな街の中へ」、そしてそれ以降の新作の写真の中から構成されています。
1995年から3年間留学した台湾で感じた「中華とは何か」という素朴な疑問と、東南アジア諸国への旅で覚えた何処にいるのかわからなくなるような違和感を写真で解き明かせないか、という問いかけに対してのひとつの答えとして表現しました。
視覚に飛び込んだときに覚える一瞬の感覚を捉えるために、あくまでも声は掛けずシャッターを切る。そこには構図を考える間も、コミュニケーションを取る間もありません。それはただ、フィールドワークのように「収集」をしていると言っても過言ではありません。そして、目で視たものがフィルムに定着され、暗室の中で浮かび上がった写真を見てはじめて思考を巡らせます。この確かな意思を持った感覚をたよりに思考する作業こそが、私の唯一のやり方であると考えています。
チャイナタウンの解説は敢えてしていません。なぜなら、あくまでも感覚にまかせて導きだしたものであり、明解な答えを言葉で伝えられるものでもないからです。この街のイメージは場所(国)も違えば、成り立ち(歴史)も違うのだけれども、私たちはそれを「中華」という文化のつながりだけでは捉えきれない、どこかあこがれやおそれのような欲望を抱いていると思われるのです。人が街をつくるのではなく、街が人をつくると言われるように、この街もまたイメージで増殖していく生き物のように視えるのです。
【著者プロフィール】
平松伸吾
1973 年愛知県生まれ。留学先の台湾で写真を始める。
2002 年東京綜合写真専門学校卒
台湾を中心に、アジアに点在するチャイナタウンを撮り続けている。
平松伸吾写真集「華やかな街の中で」
A4 変形版(265×308mm)
上製本(スリップケース付)
モノクロ/ページ数112頁/作品点数105点
発行元:蒼穹舎
【販売先】
平松伸吾ウェブサイト
https://hiramatsu.official.ec
写々者
https://www.shashasha.co/jp/book/hanayaka-na-machi-no-naka-de
蒼穹舎
http://www.sokyusha.com/http://www.sokyusha.com/books/books_2018.html