野寺治孝が「TOKYO BAY」のタイトルで写真集を出すのは2度目のこと。
1度目は今から20年以上前の1996年。ジョエル・マイロウィッツの海の写真に感銘を受け、自身が住む浦安の海を3年間かけて撮影したものだ。そして彼が再び浦安の海を撮りだしたのは2014年。
「自分の中でTOKYO BAYは一旦完結したものだったのですが、その頃、心身ともに疲れ切っていた時期があり、もう一度、写真家として海と向かい合ってみようと思ったんです」。
東京湾も海ほたるができ、遠くに見える東京や横浜の街も新しいビルが建った。カメラも20年前の大判カメラからデジタルに変わっている。リハビリのように撮り始めた写真は、徐々にライフワークとして没頭していき、5年間の撮影で1万枚以上になったという。
今回の写真集ではそこからセレクトした57枚を収録。淡々と水平線が並ぶ構成はゆっくりと染みこむような時の移ろいが写っている5月10日より浦安市役所1階で写真展も予定。