「自分なりのこだわりを持ち、納得いくまで作り込む」ことは模型を組み上げる醍醐味のひとつですが、近年においては、SNS上で「作った模型を見せる」ことによって、コミュニケーションツールとしての側面も持つようになりました。模型を作ることの意味が拡張されていく流れの中で、作った模型の実物を鑑賞しながら交流する動きも出てきています。その中の一つが「模型展示会」と呼ばれるイベントです。
「ホビージャパンエクストラ2019 Winter」では、模型を楽しむ人々の交流の場として日本各地で開催している「模型展示会」を特集。展示会の取材記事から、全国の展示会開催カレンダーも掲載しており、プロ・アマチュア問わず参加する模型展示会の盛り上がりを伝えています。
本記事では「展示会に出展したい」場合の準備や、会場で人目を惹くためのコツについて解説します。
模型展示会に参加するなら、作品には「台座」と「フィギュア」を用意すべし!
初めて模型展示会への参加を考えている方々にオススメしたいのは、作品には「台座」と、できれば「フィギュア」も盛り込むこと! 先に紹介した「テングモデラーズ作品展」や、このあとに紹介する各模型展示会の模様をご覧になっても、この2つの要素を盛り込んでいる作品が多いことに気付くと思います。
「台座」と「フィギュア」。普段の模型製作では割と軽視されがちな2つのアイテムが、模型展示会という場では作品のクオリティ以上に重要な効果を生み出していることを、模型展示会への取材やコンテスト審査などを行っている立場からの見解を基に解説していきましょう!
文/伊藤大介(ホビージャパンエクストラ編集部)
1.台座とフィギュアがあると、とにかく目立ちやすい!
特に一般参加を募っている模型展示会は、限られたスペースになるべく多くの作品を展示する方式をとっているところがほとんど。そうなると作品のクオリティだけで来場者の目を引くのはかなり難しいです。せっかく参加するのだから多くの人に自分の作品を見てもらいたいですよね?
展示スペースに直置きの作品に比べて、台座で飾られているモノのほうが、単純に作品のカサが増して断然目立ちます。また直置きに比べて作品に高さが出るので目線にも入りやすいといえます。
フィギュアも同じく作品にボリュームを与えてくれることに加えて、自然と人の目線を集めてくれる効果も持っています。かつてはハイディテールを競っていたスケールモデル系の展示会も、今ではフィギュアを盛り込む作品が増えてきて、来場者の視線を集めています。
2.台座とフィギュアがあると”特別感”が出る
1と重複しますが、作品にプラスαがされているわけですから、来場者は「この作品はなにか特別なことをやっている」と思って見てくれる可能性が高まります。プラモデル本体のクオリティだけで特別感を訴えるのはかなり難しく、ビッグサイズ、電飾といったまた別の要素が必要になってくるでしょう。
また台座やフィギュアで作品を飾り付けてあると、自分の作品を見てほしいという意識も作品から感じ取ることができます。正直、模型展示会取材やコンテスト審査を行っていて、単純な直置き作品に真っ先に注目することはほとんどありません。
3.台座とフィギュアがあれば、作品の”テーマ”を伝えやすい
作った模型を土が盛られた台座に乗せるだけで「外」、鉄板みたいなディテールのものに乗せれば「格納庫」、というように、台座を用いるだけで自分が想定しているシチュエーションを見ている人に伝えやすいです。大掛かりなものでなくてかまいません。まずは作品がギリギリ乗っかる程度の規模で充分です。そうしたヴィネット風の台座を作るマテリアルは数多く存在します。
そうしたテクスチャーをつけた台座を作るのは難しいということであれば、空中に飛ばして展示しましょう。それだけでこの作品のシチュエーションが空や宇宙であることを想像させることができます。
フィギュアもそうした演出にひと役買ってくれるアイテム。自分が想定しているものであればなお良いのですが、たとえそうでなかったとしてもそこにフィギュアがあるだけで、それはパイロットなのか、知り合いなのか、無関係なのかなど、何かしらのドラマ性を生み出して、見ている人の想像を掻き立ててくれることでしょう。
模型展示会でよく見かけたのが原型師・林浩己氏が手がけるオリジナルフィギュアを展開する「アトリエイット」のフィギュア。同氏は2月10日に幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル2019[冬]」にも出展した。
既刊の「月刊ホビージャパン」2017年9月号では初心者向けのディオラマ特集を掲載。また「ホビージャパンエクストラ 2018 Summer」でもディオラマに便利なマテリアルを紹介しているのでぜひご参考のほど。