写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?
本記事では、第1章「ぶらりカメラ旅入門」からのアドバイスをご紹介します。
いい旅すればいい写真
「上手い写真」というものに対して「下手な写真」というのがあって、「いい写真」に対して「ダメな写真」という言い方があります。
写真作画上達法をきちんとマスターして、被写体別作例見本にしたがって撮られた写真が上手い写真。一般的な趣味写真の見方をすればこれが傑作、ベスト写真です。下手な写真その1は、ただきれいだから写しただけの色彩画像。これは説明のための写真や記念写真であれば特に問題はないと思いますが、ひとに見せる写真としては落第です。下手な写真その2はちょいとややこしい。ヘタウマという言葉がありますが、ヘタウマ写真というのは技術は下手ふうだけど写真は面白いよというやつで、ま、これはぶらりカメラ旅写真に近いのかも。
さて、いい写真とは何か。単に撮り方の上手さだけではないので言葉での解説は難しいのですが、さらりと言えば、「写真を撮った作者の気持ちが伝わってくる写真」でしょうか。逆に作者の思いも心情も感じられない写真がダメな写真。撮影技術はすぐれていても、その人の旅が見えてこない写真はつまらないダメな写真ということになります。
ぶらりカメラ旅では、被写体への関心とともに、旅した人の「旅のこころ」が感じられる写真が「いい写真」ということになります。
一人旅であれ二人旅であれ、観光旅行であれ、その旅で何か得られるものがあったのならそれはいい旅だったと言えるでしょう。ぶらりカメラ旅でも、いい旅をしたなあと思ったら、いい写真が撮れているはずです。