プロカメラマンが行っている模型撮影ライティング教えます
第2回

模型撮影ライティングの実践 3つのライトで立体感を作り出す

“写真を撮る”というのは被写体の”光”をカメラで捉えること。その光をコントロールすることで自分の意図した写真を撮ることができるわけです。カメラはどんどん高性能化され、だれでも簡単に“きれいな写真”というのが撮れる時代になっていますが、それでも“自分が本当に撮りたい写真”というのはなかなか撮ることができません。
プロとアマの決定的な差はここにあって、光を自在に操って自分の、そしてクライアントが求める一枚を撮ることができる人が“プロカメラマン”と名乗ることができるのです。

ホビージャパン別冊「ホビージャパンエクストラ 2018 SUMMER」では、「月刊ホビージャパン」で長年メインで模型撮影を務めてきたプロカメラマン・本松昭茂氏が、模型撮影におけるライティングについて解説しています。本記事では、各ライトの役割と意味を解説し、模型の立体感を作り出す方法を紹介します。

写真/大村祐里子
解説/本松昭茂(STUDIO R)
文/伊藤大介(ホビージャパンエクストラ編集部)
(C)創通・サンライズ・テレビ東京

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各ライトの役割と意味

正直、模型を単純に“きれい”に写すだけであれば、全体的に均一な光を照らしてそれにカメラの設定を合わせてやればだれでも撮ることはできます。ただし平坦な見た目になってしまい“カッコ良い”写真とは言えません。模型はディテールが集合した「立体物」。立体感がある程度際立っていないと模型らしい“きれいでカッコ良い”写真にはなりにくいです。
用意した3つのライトにはそれぞれ役割があり、そのバランスで立体感のある写真が生み出されています。その役割・意味をお届けしましょう。

メインライト (タングステンランプ250W)

▲左上のライトだけを照らした写真。背景が暗く落ち込んでいるものの、被写体の大部分に光が当たっていて立体感もあり、これだけでも模型写真としては充分な仕上がり

3つうち2番目に明るい左ナナメ上のライトは被写体をメインにきれいに見せるためのもので、いわゆる「メインライト」という役割になります。このメインライトで被写体の大部分のライティングを決めていきます。

(C)創通・サンライズ・テレビ東京

 

状況用ライト (タングステンランプ300W)

▲被写体の右奥を明るく照らしている補助ライト。向かって右側の腕部や脚部のアウトラインを強調して立体感も演出している

もっとも明るい300wの補助ライトで行うのは、被写体を置いているその場所を明るく照らすためのもの。背景が明るいと被写体が綺麗に見えます。メインライトだけでは落ち込んでいた背景を明るくするとともに、被写体の後ろ側の明るさも補っています。

 

形状用ライト (タングステンランプ150W)

▲左側のライトのみを照らすと明暗のはっきりした絵になる。メインライトでは光らなかったカメラアイが光っているので、位置関係は大事にしたいところ

もっとも暗いライト150wのライトで被写体の左側を照らして被写体の立体感を引き上げます。光を当てて明るくするというよりも、アウトラインを引き立てて立体感を出すというイメージ。このライトの位置関係で見え方が随分変化していきます。

 

各ライトの役割が分かったところでライティングの完成までの流れをお届けしましょう!

左横の補助ライトの位置を動かして立体感の具合をみていく。まずは手前側に移動させて距離をあけてみる

▲被写体前側全体に光が当たり立体感がやや落ちた

 

今度は逆に左奥に配置し、本体のほぼ横からライトを当ててみる

 

▲立体感が強まりカメラアイも光った。横からのライティングはこれで決定し、最後にライト以外で微調整を行う

 

もう少しエッジを出したいところにレフ板を置いて光を反射させる。レフ板は白、銀、鏡などを使うが、今回は銀を使用

 

左のライト周りにもひと工夫。部分的に光を遮って写真に入り込む光を調整する

 

【ライティングの完成!】


3つの光を合わせて撮影されたカットがこちら。被写体は複雑な面構成が分かるように各所しっかりエッジが写った立体的な仕上がりに。背景も妙に落ち込むことなく、上面のディフューザーの上にナナメに置かれた黒い画用紙によって奥行のあるグラデーションになっています

 

<ワンポイント!>

背景紙選びは色だけじゃない

背景紙は色だけでなく、模様が施されているか否かもチョイスする要素になってきます。背景に模様が入っていると被写体のスケールを感じる写真に。逆に無地のものはそういった効果はないものの、写真としてスッキリとした印象になります。

 

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