メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック
第8回

“和風の服装”とよく合う「ウメ」という花

物語における女性キャラクター表現の中でも、ファンタジーの世界観を採用する実例は枚挙にいとまがありません。

メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック」は、ファンタジックな要素を含んだ物語に登場する女性キャラクターのデザイン方法を伝える趣旨のテクニック集です。

本書のタイトルにある「メルヘンファンタジー」とは、「童話」や「寓話」を意味する「メルヘン」と、超自然的な存在が登場する「ファンタジー」をかけ合わせた世界観を表現する造語。本書では「童話」、「花」、「スイーツ」、「空」の4テーマをベースのモチーフとして、イメージカラーや元となるモチーフが持つ要素をデザインに落とし込み「メルヘンファンタジー」世界に生きる女の子キャラクターを形づくる技術を指南します。

100を超えるカラフルでキュートなキャラクター案は見ているだけでも楽しく、イラスト集としても楽しめる本書ですが、現代の服装を「メルヘンファンタジー」風にアレンジする手法や、表情の描き分け方、イラストの詳細なメイキングについても言及しており、イラスト技術を学ぶ実用書としても十分な強度を持っています。

本記事では、Chapter4「キャラクターデザイン集 お花」より、「ウメ」をモチーフにしたアレンジ案をご紹介します。

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メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック

デザイン意図

丸い花びらが特徴のウメをモチーフに、美しくて華やかなキャラクターをデザイン。

ウメの花言葉は「高潔」「上品」「あでやかさ」なので、美しくて華やかなさまを表現しました。ウメは日本のイメージが強い花なので、花の色合いのピンク色、白色、茶色を基調の配色にした和服をベースにしました。ウメの花のリボンを付けたり、花びらの柄を模様にしたりして、全身にモチーフを取り入れています。

  • ウメの花と枝をモチーフに、立体感のある髪飾りにしました。
  • 袖に大きなウメの花を追加して、インパクトのあるアクセントにしました。
  • 袴の色は、葉っぱの緑色から大きな木の幹をイメージした茶色に変更しました。


帽子の後ろは、髪型を隠さないように、耳の上までしかない形にデザインしています。

ラフ

バリエーションのデザイン意図

花言葉の「高潔」から、伝統や品位が感じられるように、七夕の織姫風の衣装デザインにしてみました。大きな羽衣を付けることで、シルエットを華やかにしています。

梅×七夕

  • モチーフから、ウメと短冊を掛け合わせた髪飾りをデザインしました。
  • 帯締めは、梅の花のおしべをイメージしています。
  • 梅の形をデフォルメしたデザインを、スカートの模様にしてみました。

羽衣は、帯の中を通してからゆらぐようなデザイン。

ウメ柄のバリエーション

ウメの模様は和服に使いやすいモチーフです

和の雰囲気にぴったりなウメを、いろんな形にデフォルメして模様を作ってみました。衣装の柄や、アクセサリーにも取り入れやすく、使いやすいモチーフです。和風なデザインをする時には、梅の模様を取り入れて華やかにしてみましょう。

 


<玄光社の本>

メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック

著者プロフィール

佐倉おりこ

フリーランスのイラストレーター。メルヘンファンタジーな世界観を
よく描きます。児童向け書籍やキャラクターデザイン、ライトノベル
の挿絵、漫画、楽曲イラストなど幅広く活動しています。
Twitter:@sakura_oriko
ホームページ:https://www.sakuraoriko.com/

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