インスタグラム 商品写真の撮り方ガイド
第1回

Instagramで売れる商品写真を撮るために知っておくべき大事なこと

インスタグラムを活用して商品の販売促進を行っているショップや会社は増えています。そのためにフォロワー数の多い人気インスタグラマーに「美しい」「目立つ」「映える」商品写真撮影を依頼するといった流れもあります。しかしながら、そもそもインスタグラムは無料で利用できるSNSです。できれば自分で撮影して、宣伝予算を抑えたいものです。自社の商品の魅力を伝え、より多くの人に見てもらえるような写真を撮るにはどうしたらよいのでしょうか。
インスタグラム 商品写真の撮り方ガイド(技術評論社)」は、3人の人気インスタグラマーが、インスタグラムユーザーに向けた商品写真の撮り方を伝授する書籍です。

本記事では、「最初に考えるべき 5つのステップ」からアドバイスを抜粋して紹介します。

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インスタグラム 商品写真の撮り方ガイド(技術評論社)

 

SECTION 01 最初に考えるべき5つのステップ

インスタグラムに投稿する商品写真は、ただなんとなく撮影するだけでは、魅力や意図が伝わる写真になりません。商品のどんな部分に魅力があり、それは誰にとっての魅力なのか。また、その商品はどんなシーンで使うのか、それによってどんな気持ちになれるのか。そういったストーリーを想像して、商品のセッティング、背景やアングルの決定、撮影を行います。

STEP 1 商品の魅力を考える

商品撮影を行う時、必ず考えなければいけないのが「商品の魅力」です。その商品の売りとなる要素を考えて、それを引き出せるような写真を撮影していきます。
商品の魅力には、2つのパターンがあります。1つは、たくさんのものが入るカバン、入れた飲み物がずっと冷たいコップ、といった「機能的」な魅力です。もう1つが、ロゴがおしゃれな雑貨、持っているだけで心が弾むかわいいポーチなど、「デザイン的」な魅力です。
こうした商品の魅力を探る上でのヒントになるのが、商品のブランドです。ブランドの歴史やコンセプト、どんな層に向けた商品を開発しているのかを調べれば、それが商品の魅力を知る大きなヒントになります。

機能の魅力

冬に履くブーツの商品写真です。ブーツの保温性が魅力の商品のため、ここでは膝にブランケットをかけて、間接的に暖かさを表現しています。

 

デザインの魅力

「GINGER JAM」というジャムの商品写真です。ロゴのデザインに惹かれたので、それが一番魅力的に見える角度を探して撮影しました。ロゴとラベルのデザインの魅力を優先しています。

 

STEP 2 誰が使うのかを考える

次に、その商品を誰が使うのかを考えます。商品が持っている魅力とは別に、この商品を使う人のことをイメージし、その人が商品に対して何を求めているかを考えるのです。例えばその商品を扱うのが女性なのか、男性なのか? また女性だとしたらどんな女性なのか? 「誰が買うのか」によって、写真で伝えるべき商品の魅力は大きく変わります。商品の魅力を誰に伝えるのかを考えて撮影するとよいでしょう。

若年層の女性がターゲット

カラフルなドリンクを撮影した1枚です。若年層の女性が少し贅沢をして長い休みを取り、リゾート先でのんびりしている、というイメージで撮影しました。

ハイブランド志向の女子がターゲット

高級ブランドの香水を写した1枚です。ハイブランド志向の女性をターゲットとして、写真では非日常感と高級感を演出しました。

性別や年齢を定めない

男女どちらにも魅力的に見える「ユニセックス」な写真を撮影する場合もあります。この写真は、スマートフォンの柄や花は女性のイメージですが、コントラストを高くして暗めに仕上げたことで、男性にもアピールできる写真に仕上げています。

 

STEP 3 どんな場面で使われるのかを考える

商品写真を撮る上では、その商品がどんな場面で使われるのかを考えることも重要です。例えば洋服なら、友だちと遊ぶ時とデートの時では、コーディネートが違うかもしれません。アクセサリー類なら、購入者自身が使う場合だけでなく、誰かにプレゼントすることも考えられます。決して正解はありませんが、自分なりのストーリーを考えて撮影することで、より商品の魅力が伝わる写真になるはずです。

仕事の合間に一息

仕事の合間の喉が渇いた時に一息つく、というイメージで撮影した1枚です。副題のパソコンやメガネによって、仕事中のイメージを作っています。

旅行に持っていくお気に入りの1本

上の写真と同じ商品ですが、ここではトラベルバッグとともに撮影しています。旅行に持っていくほどお気に入りの1本、というイメージで副題を選びました。

旅行先で休憩

モデルに商品を持ってもらい、屋外のお店で撮影しました。旅行先で休憩しているようなイメージを演出しています。女性の服装から、季節感をより具体的に想像できます。

STEP 4 どんな気持ちになれるのかを考える

ここまでで、「商品の魅力」「誰が使うのか」「どんな場面で使うのか」を考えることができました。次は「その商品を使った時にどんな気持ちになれるのか」を考えます。音質のいいイヤフォンなら、ライブで音楽を聴いているような臨場感。ソーラー式電池の時計なら、充電や電池交換の手間なく使えるので、時刻が遅れるストレスや調整する手間がない、といった具合です。
また、商品によっては「実はこんな使い方をしてこんな気持ちになることもできます」という、意外な用途を写真で提案することもできます。撮影者のオリジナリティをもっとも発揮できる要素でもあります。

モデルに商品である白いワンピースを着てもらい、裸足になって海辺を歩いてもらったところを撮影しました。光が水面に反射している眩しさと、ワンピースの白さを重ねて、より透明感を強調。この服を着て爽やかな気持ちになれることを表現しています。

STEP 5 最適な魅力を選択する

ここまでのところで、商品についてさまざまな分析を行ってきました。その結果、浮かび上がってきた商品の特徴は決して1つではなく、1つの商品に複数の魅力があったり、その商品を使う人によって変わったりするものであるはずです。そのため、誰がどんな場面で商品を使い、その時にどんな魅力を感じるかは、決して1通りではありません。
大切なのは、その中からターゲットを絞り込み、その人にもっとも伝えたい魅力を写真に乗せることです。すべての人に同じ魅力を感じてもらうのは不可能なので、明確なターゲットを絞ることで、その層に響きそうな写真を撮影するのです。

商品の魅力は?
・機能が優れている
・デザイン など

誰が買う?
・10代後半~ 20代前半の女子学生
・20代前半~ 30代半ばの社会人
・40代以上の妻帯者 など

どんな場面で使う?
・デートに出かける
・家族へのプレゼント
・友人と遊ぶ
・社交パーティ
・旅行先で使う など

どんな気持ちになれる?
・喉が潤い爽快な気分になれる
・充電のストレスなく使い続けられる
・身に付けることで優越感が得られる など

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ターゲットに最適な魅力を選択する

すべての要素を考えた上で、特定のターゲットにもっとも訴求できる魅力を想定し、 写真の中にストーリーを込めて撮影します。

 

インスタグラム 商品写真の撮り方ガイド(技術評論社)

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