交換レンズを選ぶ際に重視するスペックは、焦点距離や絞り、最短撮影距離や手ブレ補正の有無、重量など、用途によって人それぞれです。しかし多くの人にとって最も気になるポイントは「実際に撮影した時にどう写るか」ではないでしょうか。誰しも買い物で失敗はしたくないもの。それゆえに「製品レビュー」は常に必要とされ、読まれるのです。
家電量販店のヨドバシカメラが運営している「フォトヨドバシ」は、カメラボディやレンズを実際に使用し、作例とレビューを掲載しているWebサイト。「ニコンFマウントレンズ 完全レビューブック」は、その中からニコンFマウント用レンズ174本のレビューを抽出し、書籍としてまとめたものです。
本記事では掲載レンズのうち、「Nikon AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S」のレビューを抜粋して紹介します。
30年来の現役レンズの力は伊達じゃない
ニコンが未だに製造してくれているMF用レンズの中の1本。MF全盛の時代から、ニコンのレンズは解像度が良いといわれてきましたが、その中でもとりわけキレのある描写を見せてくれます。
硬いか柔らかいかの二択なら間違いなく硬い描写です。エッジがしっかり立っているという言い方が適切かどうかは正直わからないのですが、キリッとした画。さらに目を引くのは色のりではないでしょうか? ニコンにしてはかなりのコッテリ系。こうした画全体の仕上がりを見るにつけ、デジタルにも難なく対応するマクロレンズの底力をひしひしと感じるわけです。
キレ味だけでなくぼけ味も良好で、最短撮影距離25cmから遠景までしっかりと使える徹底ぶり。現行のAF 用のMicro-Nikkorにも負けず劣らず評判が良いことも頷けます。
俗に「ファインダーを覗いているだけでワクワクする」と称されるレンズのまさに代表的な存在なのではないかと思います。ひと度手にすれば、きっちりと作りこまれた鏡胴からもその質感が伝わってくることでしょう。手足を使いながらじっくりと被写体と向かい合う。そんな時間が楽しくて仕方なくなるレンズです。(KIMURAX)