Amazon Kindleを中心にレンズやカメラの情報を発信する「ぼろフォト解決シリーズ」は、『ボロい写真を解決する』ための様々なテクニックを紹介する電子書籍です。「絞り優先に挑戦し本格的な撮影をはじめる! Nikon D850」では、ニコン D850の機能を使いこなしながら、絞り優先モードでうまい写真を撮るためのテクニックを解説しています。
本記事では、「脱・初心者のためのカメラの基本操作」から、絞り値の設定と、設定値ごとの効果について見ていきます。
覚えておきたい絞り値の選び方
絞り優先AE で撮影するために、絞り値による描写や印象の違いについて知っておくと、撮影時にどの絞り値を選ぶべきかというヒントになるはずだ。
絞り値の変化による効果
大きくぼかす:絞り値を小さく(絞りを開く)
ピントを合わせた位置(被写体)以外をぼかしたいと考えるなら、そのとき装着しているレンズで選択できるもっとも小さなF値を選択しよう。選択可能なもっとも小さい絞り値を「絞り開放」「開放絞り」または単純に「開放」などと呼ぶ。
解像感を得る:2絞り程度絞る
ピントを合わせた位置を中心にもっとも高い解像力を発揮するF値は、その焦点距離での絞り開放から一般的には2段ほど絞ったあたりになる。開放絞りから1〜2段程度絞った状態がもっとも解像感が高くなると考えておこう。
全体にピント:絞り値を大きく(絞りを絞る)
画面全体にピントが合うように見せるパンフォーカス。標準画角である50mm相当くらいまでならF8.0〜11で極端に距離の近いものなどがなければ、ほぼパンフォーカスとなる。それ以上の望遠域では、絞っても画面全体をパンフォーカスにするのはむずかしい。
絞り値による印象の変化を知っておこう
絞り優先で撮影する際に役立つように、絞り値のおおまかな選び方を覚えておこう。
画面内で被写体の前後を大きくぼかしたいなら、絞り値は開放にするのが基本だ。いっぽう、レンズの解像力を引き出すなら、開放F値より1〜2段程度絞る。さらに、画面全体をパンフォーカスにするならF8.0〜11。これら基本原則となる、これらをおおまかなめやすとして覚えておいてほしい。
小絞りぼけ(回折現象)
同じ状況で絞り値だけを変えて撮影している。F5.6よりもF11、F22となるとピントが甘く見えるのがわかるはずだ。
画面全体
F2.8
F5.6
F11
F22
絞り値はF11程度まで
デジタルカメラで撮影するなら、最小絞りなどの極端に大きな絞り値での撮影はおすすめしない。比較写真を見てほしいが、F5.6で撮影した写真よりも、F22の写真のほうが描写があまくなっている。大きな絞り値を選択するほど、ピントの合って見える範囲は広がるが、画面全体がよりシャープで高解像に写ることはなく、むしろ「小絞りぼけ」「回折」とよばれる現象により、かえって描写があまくなる。
D850で撮影する場合には、被写界深度が必要な場合をのぞいて、絞り開放からF11程度で撮影したい。レンズや構図の選択で小絞りを選ばないような工夫も考えたい。