#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。
第1回

セルフポートレート撮影における「撮影コンセプト」の立て方

ポートレートは専門の写真家がいるほど確立されたジャンルです。カメラを持った人なら一度は撮ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、ポートレート撮影には「モデル」の存在が必須。モデルさんのスケジュールや撮影場所を決めるなど、撮影を始めるまでに多くの段取りが存在します。
そこをヒラリと乗り越えたのが、女性セルフポートレート写真家のRinatyさん。初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、自身をモデルとして撮影するセルフポートレートの撮り方、そして撮影の裏側を公開した一冊です。セルフポートレートは、自分がモデルで自分がフォトグラファー。誰もがチャレンジできるジャンルです。
コンセプトは「わたしだけの世界観で、そこに写ったわたしなら好きになれる」。
自分の新たな一面を発見でき、自分のことをもっと好きになれるセルフポートレート作品50点の中から、8点の作品を紹介します。

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セルフポートレート撮影における「撮影コンセプト」の立て方

セルフポートレートを撮影するにあたり、大切にしているのは「私でなければ撮れない写真」だということ。そして、セルフポートレート撮影の最初の一歩となるのが、撮影コンセプトの立案です。ここでは、私がどんな発想からセルフポートレート作品を作りあげているのか、「ロケ地」「衣装」「季節」「私の想い」という4つの要素に分けて説明をします。

 


①ロケ地からコンセプトを決める

本書で紹介している、雪山や岩場、川や花など自然豊かなロケーションで撮影をした作品。これらの多くは、ロケーションを見たときに得られるインスピレーションをヒントにコンセプトを考えています。「雪山だったら雪の女王」「緑豊かな日本アルプスに住む少女」、そんな具合にロケーションから作品のイメージを膨らませているのです。まずは自分が撮影したい、と思うロケーションを探すところからはじめるのもいいかもしれません。

そんなときに便利なのが「地図アプリ」です。地図を見ただけでは大雑把な地形しかわかりませんが、拡大をしていくと現地の写真を簡単に確認することができますね。例えば、ゴツゴツとした海岸線に素敵な岩場があれば、そのスポットをタップしてピンをブックマークをしておきます。

いざ、その場所で撮影をすると決めたら、合いそうな衣装やメイクを考えて具体的な絵作りをスタート。アプリの写真を参考にしながら、写真のイメージを膨らませていきます。遠方で撮影する場合は数日かけて複数のロケーションを訪れることが多く、どんな天候になっても撮影できるように、3~4着の衣装を用意します。

私は大自然のなかで撮影をすることが多いのですが、これはロケーションのよさに加えて、撮影しやすい環境という理由からです。東京、大阪などの観光地でセルフポートレートとなると、写り込みを気にしたり、人の往来を妨げないような意識が必要です。その点、人の少ない環境での撮影であれば作品作りに集中でき、自然に配慮しながら納得いくまで撮影をすることができます。


②衣装からコンセプトを決める

ドレスを含めた撮影衣装ですが、家の押し入れやクローゼットには100着ほどのストックがあります。なかでもデザイナーさんに作っていただいたオリジナルの衣装で撮影をするときなどは、衣装ありきで撮影のコンセプトを考えるときがほとんどです。

私が衣装を用意する上でよく利用するのは、フリマアプリや、海外の衣装を販売しているECサイト。撮影に使えそうだなと思ったものをガサっと買い込んでしまいます。


③季節をテーマにコンセプトを決める

日本の四季って素敵ですよね。花や植物、天候、季節の移り変わりにより、同じ場所でもその表情は大きく変化していきます。私は、作品を通じて春夏秋冬を追いかけたいロケーションを見つけたとき、あえて同じ構図で撮影することがあります。そうすることで、日本の美しい風景を作品として残すことができ、現地の魅力を作品を通して広めることができるのです。

個人的なおすすめスポットは富山や長野。四季で移ろう景色の変化も印象的ですし、撮影もしやすい。ご飯が美味しいところもポイントで、毎年撮影に訪れています。


 

④自分の想いをコンセプトにした作品

嬉しいことだったり、逆に嫌なことだったり。日々起こったことをメモ書きし、それらを作品のヒントにしたいと考えてストックしておくことがあります。例えば、フォトグラファーに転身して1年目のときは、周りに振り回されずに頑張っていこうという想いを表現したいと作品作りをしたこともありました。誰かに向けた大きなメッセージがあるわけではありませんが、撮影した写真を改めて見たとき、当時の気持ちを思い出すことができるのです。


 

#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。

 

著者プロフィール

Rinaty

 

 

 

 

 

 

 

Rinaty

元土木系公務員。 自分自身を撮影するセルフポートレート写真家としても精力的に活動中。 撮影の裏側の様子がSNSで話題になり、数多くのメディアで取り上げられている。 セルフポートレート撮影によって身につけた技術を活かし、全国各地で写真セミナーやフォトウォークを多く開催する他、専門学校にて非常勤講師としても活動している。

ウェブサイト Rinaty Photo Studio
X(旧Twitter)@rina_k_photo
Instagram @rina_k_photo

 

 

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