他者との交流を目的としてタイムラインに写真を投稿することは、SNSの黎明期より長く行われてきました。それは自然と、SNSを写真作品の発表の場としても機能する形に進化させています。
「バズる!写真編集術」では写真を発表する場としてのSNSにおいて、より多くの人々に作品の魅力を届けるための考え方と調整方法を紹介。SNSで写真が拡散される現象についての考察をベースに、個々の作品で表現したいテーマに沿った調整の具体的な手順を作例のビフォー/アフターによって伝えています。
本記事ではTYPE C「ユニーク」より、夕日の路地に咲いた桜の風景表現について解説します。
トレンド: #本気出した路地裏は強い
路地+桜+夕日のシーンを絶景に変換する
Shooting Tips
同じ場所の写真でも、太陽がある方角や角度によってその印象は大きく異なります。日の出、日没、太陽が通過する黄道は季節によって変わるため、朝日や夕日を撮影する場合は事前にアプリやウェブサイトで日の出や日没の方角を調べてから臨みましょう。
Before
- 夕日、街並み、桜の直線方向の輝きを意識させる
- 夕日が桜の花を透過しているような光の輝きを表現
- 桜の木の影を強調してアクセントにする
とある桜の名所のすぐ裏にある、一本桜が植えられた小さな路地。普段から見晴らしこそいいですが、春には満開の桜の背後に夕日が沈むという、息を呑むような美しい光景が見られます。まさに奇跡と呼べる「私だけの絶景」です。
編集では、桜と夕日、そして街並みといった全体の要素がよく見えるよう明るさを補正してスムーズな視線誘導を促します。逆光かつ明暗差が激しい環境での撮影だったため、明るさのバランスを整える作業も必須。加えてハイライトとシャドウの色合いを対比させることで写真にメリハリをつけ、風景の魅力を最大限に引き上げます。
After
写真編集のポイント
逆光の透け感を表現するため、桜の花を明るくし、色をしっかり出します。
基本補正: 空と街並みの明るさを整える
夕焼けの色をしっかり出しつつ、街並みのディテールが見える明るさを探り調整します。太陽の白飛びは仕方ありませんが、周囲の色は残るように。ほぼシルエット状態の桜や地上は以降のステップでマスクを使用して明るくします。
基本補正パネルのハイライトを抑えて空の色を出し、露光量とシャドウを上げて街のディテールを見せていきます。
明瞭度をプラスして街のディテールを強調し、かすみの除去をプラスすることで空をクリアに濃く見せていきます。
高度な補正: ハイライトに暖色、シャドウに寒色を載せる
明るいところに暖色、暗いところに寒色を載せて色を対比させることによって、日なたと日陰でメリハリをつけます。さらに暖色の彩度を上げてコントラストを高くすることで夕焼け空がより印象深く見えるように演出します。
全体のトーンカーブはハイライトのコントロールポイントを上げて明るく、中間調までのコントラストを高くします。さらにグリーンとブルーの左下端をそれぞれわずかに上げてシャドウに青緑色を載せ、ブルーの右上端をわずかに下げてハイライトに黄色を載せます。
カラーパネルのイエローとオレンジの彩度を上げて暖色を強めます。
マスク: 円形グラデーションで夕日の効果を強化する
街並みと桜の上部を明るくし、夕日で照らされている光景を印象的に再現します。ホワイトバランスで橙色を載せ、街並みと桜のディテールをはっきり出すことで、被写体が夕日に照らされて輝く様子を表現します。
ツールストリップ＞マスク＞円形グラデーション
街並みを中心に桜の上部に少しかかるぐらいまでマスクで覆い、ホワイトバランスで暖色を強めます。露光量を上げて明るく、テクスチャを上げて街並みの微細な太陽光の反射を強調させ、明瞭度で建物や桜のディテールを強調します。
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マスク： 円形グラデーションで前景を明るくする
桜とその影のディテールを出して主題を目立たせます。ここでは桜を明るくして夕日が透けているように見せるのがポイント。桜の存在感を前面に出して夕景と組み合わされることで強烈なインパクトを与えます。
マスクパネル＞新しいマスクを作成＞円形グラデーション
円形グラデーションで前景をマスクし、露光量とシャドウを上げて明るくします。ホワイトバランスで橙色を載せて夕日の色味を強調し、明瞭度を上げて影のディテールを出します。
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