カッコいいスナップ写真の撮り方
第10回

時にはあえて視野を狭めてみる

今や誰もがカメラを手にして、日々の記録を写真として残す時代になりました。スナップ写真と呼ばれるジャンルは、目の前の景色、日常を残すという意味では、私たちが最も親しんでいるジャンルかもしれません。

カッコいいスナップ写真の撮り方」では、日頃私たちが撮っているスナップ写真をよりカッコいい作品へと高めていくための秘訣を伝授。著者の野寺治孝さんによれば、「カッコいいスナップ写真」とは「独自の視点」「写真的感性」「空気感の表現」「個性的に撮る」という4つのポイントを押さえた写真としています。自分なりの工夫や視点を持ち、機材やテクニックに頼らず、それでいて場の空気をしっかり捉えることであり、本書ではそれを実践するための考え方について、様々な作例を使って説明します。

本記事ではChapter10「街・都会」より、「輝く路面電車の線路」を例とした撮り方、考え方について抜粋して解説します。

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カッコいいスナップ写真の撮り方

街・都会の撮り方

人工物である「街・都会」ですが風景写真として撮れば、天気や季節などの自然現象に左右されます。他のモチーフと同じように、その時の条件と出会いを大切にして撮っていきましょう。

ビルや都市そのものを引きの画角で撮ることが多いと思いますが、「森を見て木を見ず」にはならず「木」つまり建物や街角の一部分を切り取ることにも作風の幅を広げるには有効です。例えば壁の一部、看板、窓などです。どこをどのように切り取りたいのかを明確にしてレンズの画角を決定しましょう。

建築竣工写真にならないように、その街の美しさや人の営みを感じるような作品に仕上げていきましょう。

輝く路面電車の線路

路上撮影は無理のない範囲で安全第一で撮ろう。

DATA
高知県・はりまや橋交差点/朝8時頃
フルサイズ・デジタル⼀眼ミラーレスカメラ
24-105mm F4(24mm付近)
1/2000秒 F8 絞り侵先AE -2/3補正 ISO800

撮り方&仕上げ方
ピントは画面中央の線路に合わせる。絞り値は開放F8にしてパンフォーカスにする。露出はやや暗めにして線路の輝きを強調する。シンメトリー構図を意識して、横切る自動車が途切れた瞬間を狙う。レタッチでは青をやや上げて朝の雰囲気を表現する。コントラストをやや強めて輝いた線路を際立たせる。

NOTE
前の日に同じ交差点を撮った。確認したら今ひとつの出来栄えだったので再度行ってみた。車が線路に被らないところを狙った。横断歩道を渡る途中で撮るので、自転車や歩行者も入ってしまい難易度が高かった。理想は路面電車がもっと手前にあった方がよかったのだが、そのタイミングだと歩行者信号が赤なので諦めた。


カッコいいスナップ写真の撮り方

著者プロフィール

野寺治孝

野寺治孝(のでら はるたか)
1958年千葉県浦安市生まれ。
本郷高校デザイン科、にっかつTV映画芸術学院卒業。広告デザイン事務所、郵便配達員、牛乳販売業など職を転々とするが1984年にポストカードの自費制作販売を機にプロ写真家として活動を開始する。1991年に「有限会社スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。多岐にわたる被写体を空気感とストーリーを感じさせる独自の作風で多くの作品を発表している。

ウェブサイト:http://www.nodera.jp/
Twitter:@noderaharutaka
Instagram:@harutaka1958nodera
Facebook:harutaka.nodera

<主な著書>

『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』
『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』

 

カッコいいスナップ写真の撮り方
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