カッコいいスナップ写真の撮り方
第3回

人が写り込むことでドラマチックな光景に

今や誰もがカメラを手にして、日々の記録を写真として残す時代になりました。スナップ写真と呼ばれるジャンルは、目の前の景色、日常を残すという意味では、私たちが最も親しんでいるジャンルかもしれません。

カッコいいスナップ写真の撮り方」では、日頃私たちが撮っているスナップ写真をよりカッコいい作品へと高めていくための秘訣を伝授。著者の野寺治孝さんによれば、「カッコいいスナップ写真」とは「独自の視点」「写真的感性」「空気感の表現」「個性的に撮る」という4つのポイントを押さえた写真としています。自分なりの工夫や視点を持ち、機材やテクニックに頼らず、それでいて場の空気をしっかり捉えることであり、本書ではそれを実践するための考え方について、様々な作例を使って説明します。

本記事ではChapter1「近所・住む街」より、「橋下の光景」を例とした撮り方と考え方について抜粋して解説します。

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

カッコいいスナップ写真の撮り方

近所・住む街

普段見慣れている場所でも、改めて「撮る視線」で見たり、時間や季節が変われば「気がつかなかった、こんな場所があったんだ」と、新鮮に見えてくると思います。早朝や夕暮れ時、夜に行ってみると昼間とは全く違って見えてきます。自分の街ですからアウェー感も少なく安心して撮れます。このことは旅などで見知らぬ場所に行っても、自分を見失うことなく普段通りに撮れる訓練にもなります。

スナップの基本は街歩きです。とにかく撮りたい被写体を歩いて探すことが、スナップ撮影の第一歩だと思います。

橋下の光景

点描でも人が入ることでドラマチックな光景になる。

DATA
千葉県・浦安市・浦安橋下/午前7時頃
フルサイズ・デジタル⼀眼ミラーレスカメラ
24-105mm F4(24mm辺り)
1/1600秒 F8 絞り侵先AE -1/3補正 ISO400

撮り方&仕上げ方
ピントは画面中央のコンクリート・フェンス辺りに合わせ、絞りは絞ってパンフォーカスにする。空の青さと影を強調するので露出はややアンダーにする。人が来たタイミングでフォルムに注意して撮る。レタッチではコントラストを強くして影の部分を黒くするが、画面上部の橋下が黒つぶれにならないように注意する。

NOTE
秋空の空気が澄んだ朝だった。青い空と画面手前の影とのコン卜ラストを表現したかった。朝日の当たったコンクリート・フェンスが殺風景だったので、人が来るのを待って撮った。必ずしも人が入った方がいいとは限らないが、この場合は成功したと思っている。ただ今見るともう少し右なら完璧だったのだが……。


カッコいいスナップ写真の撮り方

著者プロフィール

野寺治孝

1958年千葉県浦安市生まれ。写真家。海や日常風景の周りに漂う空気感や自然光を活かした撮影に定評があり多くのファンを持つ。主な仕事に松任谷由実のコンサートパンフレットとCD ジャケット、丸の内カレンダー(三菱地所・伊東屋)、サマーグリーティング切手2015 、2016年(日本郵便)などの撮影を手掛ける。その他雑誌、写真展、講演、写真集など多数。
ウェブサイト:http://www.nodera.jp/

関連記事