カッコいいスナップ写真の撮り方
第2回

機材や技術以上に大事なのは、撮影者自身の個性

今や誰もがカメラを手にして、日々の記録を写真として残す時代になりました。スナップ写真と呼ばれるジャンルは、目の前の景色、日常を残すという意味では、私たちが最も親しんでいるジャンルかもしれません。

カッコいいスナップ写真の撮り方」では、日頃私たちが撮っているスナップ写真をよりカッコいい作品へと高めていくための秘訣を伝授。著者の野寺治孝さんによれば、「カッコいいスナップ写真」とは「独自の視点」「写真的感性」「空気感の表現」「個性的に撮る」という4つのポイントを押さえた写真としています。自分なりの工夫や視点を持ち、機材やテクニックに頼らず、それでいて場の空気をしっかり捉えることであり、本書ではそれを実践するための考え方について、様々な作例を使って説明します。

本記事では「カッコいいスナップ写真の解説」より、「写真的感性」についての解説を紹介します。

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カッコいいスナップ写真の撮り方

2. 写真的感性(機材とテクニックに頼らない写真術)

DATA
千葉県・浦安市・近所の公園/午後2時頃
フルサイズ・デジタル一眼レフカメラ
50mmF1.4
1/2500秒|F1.4|絞り優先AE|補正なし|ISO400

撮り方&仕上げ方
ピントは猫の目に合わせる。絞り値は開放F1.4で。かなり被写界深度が浅いのでピント合わせには細心の注意をする。露出は見た目の明るさを狙う。猫は気まぐれですぐにどこかに行ってしまうので、出合ったら素早く撮る。曇天はフラットなトーンになりやすいので、レタッチではコントラストを強める。

NOTE
自分にプレッシャーをかけて単焦点50mmレンズ1本、しかも絞り値はすべてF1.4の開放のみで撮ろうと決めていた。被写体との距離も、自身で寄り引きをしなければならない。写真は不思議と制約が面白いものが撮れたりする。この作品も中望遠100mmで撮ったようなニュアンスが出たと思う。単焦点レンズのボケ味のきれいさを実感した。

 

面白い写真を撮る3大要素は、“魅力的な被写体”“豊かな感性”“優れた技術”だと思っています。 魅力的な被写体を発見したら、それをどのように見て撮ろうかと感性が働きます。 頭の中には出来上がった写真の完成形のイメージが浮かんできます。それをどのようにして写真作品として撮って創っていくのか。 このイメージにできるだけ近づけられるのかは、 被写体を見た時の感性次第になってきます。 ただし技術を疎かにしてもいいと言っているのではありません。

私の言う技術とは機材選ぴも含みます。 まずはカメラとレンズです。 特にレンズは重要です。 通常のスナップ撮影で使う焦点距離は35mm前後のレンズです。ズームレンズならば24-105mm程度の標準ズームが便利でいいと思います。

しかし、本連載では焦点距離にこだわらず、16mmなどの超広角、200mmなどの望遠、マクロレンズ等と作品に合っていれば何でもかまいません。 普段お使いのレンズにプラスして「スナップでは使いそうもないレンズ」をー本持って行くのも面白いと思います。

基本的な技術はピント、露出、シャッタースピードの3つです。撮りたい被写体にピントが合わせられる、または意図的に外せる。被写体をブラさずに撮れる、または意図的にブラすことができる。 被写体をイメージした露出(明るさ)で撮れる、となります。この3つの技術は基本中の基本ですからしっかり身に付けましよう。この先は多種多様なテクニックがありますのでここでは割愛させていただきます。ご興味がある方は拙者 『写真の撮り方レッスンブック』を参考にしてください。

「一歩でもいいから感性がテクニックよりも先に行っている写真が面白い。逆はありえない」と思っています。それは、私の中の魅力的で面白い写真とは「撮影者の個性が写っていて、見えない何かを感じる」なのです。

技術的なものが見えたり感じたりした瞬問、 その写真に作為を感じ、あざとく見えてしまうのです。 作意なら制作意図のことなので見えてもまったくかまいません。“作意と作為はまったく違うもの”なのです。どのようなアートでもこのようなことはあると思いますが写真はカメラというメカを使うので特に敏感になるのかもしれません。

感性とは、まさに撮影者の個性ですから干差万別です。よく「桜は満開で撮るのか、散ってから撮るのか、または散り際なのか」と問われます。 正解はありません。 どこを撮っても面白ぃ写真であれぱ正解なのです。どの桜に一番感じたかが撮影者の感性なのです。だから面白いし難しいのです。“自身の感性を、卓越したテクニックで写真作品にする。しかし、そのテクニックは感性よりも目立ってはいけない”ということだと思います。


カッコいいスナップ写真の撮り方

著者プロフィール

野寺治孝

野寺治孝(のでら はるたか)
1958年千葉県浦安市生まれ。
本郷高校デザイン科、にっかつTV映画芸術学院卒業。広告デザイン事務所、郵便配達員、牛乳販売業など職を転々とするが1984年にポストカードの自費制作販売を機にプロ写真家として活動を開始する。1991年に「有限会社スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。多岐にわたる被写体を空気感とストーリーを感じさせる独自の作風で多くの作品を発表している。

ウェブサイト:http://www.nodera.jp/
Twitter:@noderaharutaka
Instagram:@harutaka1958nodera
Facebook:harutaka.nodera

<主な著書>

『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』
『個性あふれる”私らしい”写真を撮る方法』

 

カッコいいスナップ写真の撮り方
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