写真撮影の道具たるカメラはその誕生以来、様々な進化を遂げてきました。それはカメラ自体が持つ機能だけでなく、被写体と直接相対するレンズも同様であり、長い歴史の中で、多くの交換レンズが生まれ、今なお撮影に用いられています。昨今、マウントアダプターの普及に伴って、最新のカメラで古いレンズを使う楽しみ方も広く知られるようになりました。
「オールドレンズ 銘玉セレクション」では、国内外のオールドレンズを外観写真や作例とともに紹介。そのレンズが開発された時代における新規性や立ち位置、技術的な背景など、オールドレンズにまつわる知識を深めることができる一冊となっています。
本記事では第4章「時代を駆け巡ったレンズメーカーの栄枯盛衰」より、「Juplen 135mm F2.8」の作例と解説を紹介します。
海外で人気を博した光学メーカー 藤田光学工業「Juplen 135mm F2.8」
藤田光学工業は1928年にレンズメーカーとして創業した。藤田光学の歴史の中で欠かせないのがフジタ66の存在だろう。1954年に製造に成功した6×6判のフォーカルプレーン式一眼レフは1956年海外で販売開始された。そのさいにバイヤーズブランド(OEM)としてカリマーやソリゴール、ハコなどがある。このカメラの国内での発売は海外で発売された翌年の1957年だ。
今回紹介するJuplen135ミリF2.8はこの前後の時代のアメリカ向け交換レンズだと思われる。フジタは数多くのOEMブランドのレンズを扱っている。これらブランドのほとんどは海外向けだ。1958年頃にはフジタ66カメラなどの海外での販売が好調でアメリカ・カナダ等世界30カ国に年間1万2千台以上のカメラを輸出していた。しかし1964年に発売されたフジタ66SQ以降カメラは発表されておらず、情報はないもののカメラ、レンズ生産はされていない。