PICTURES編集部が撮ってみた!「金属光沢のあるブツ」は、映り込みの処理が難しい!

イラストや写真、映像など、様々な分野で活躍するプロの技術を伝える技法書は、効率的にノウハウを学べる手段のひとつです。本を参照しながら実際に手を動かすことで、初めて理解できることもあるでしょう。

ここではPICTURES編集部員が本の内容を実践してみることで気づいたこと、感じたことをお伝えします。

今回は「売上がアップする商品写真の教科書」より、金属製品の質感を演出する撮影方法を試してみます。

なお撮影設備については筆者個人が所有する範囲で行うため、書籍の内容と完全に同じ環境を用意することはできないので、できるだけ元となった記事の主旨に沿うようにアレンジして試行しています。

参照記事:商品写真テクニック 金属製品の質感を演出する

著者のやまぐち千予さんは、金属製品の質感を表現するために重要な要素として、主に下記の3点を挙げています。

  • 金属らしい光沢感
  • 硬質さを感じさせる輪郭のコントラスト
  • ハイライトからシャドウまでのなめらかなグラデーション

また被写体が道具の場合は、被写体の機能がイメージしやすいような見せ方も考慮する必要があります。今回は金属らしいハイライトのラインと、光沢感に注目して撮影してみました。

写真の目的:イメージ写真
訴求イメージ:金属的な光沢とハイライトで道具の機能性を伝える。
ターゲット:シンプルなライフスタイルを好む男女
スタイリングのポイント:ミルクピッチャーの形状に注目させるために、背景を黒ベースとし、注ぎ口を含むフチ全体に光を当てて撮影した。

金属製品の撮影を実際に試してみて難しいと感じたことは、金属表面への映り込み処理でした。逆光状態を作って手前を暗くし、フチ部分のハイライトを強調するところまではよかったのですが、右手前側の胴部分に余計な映り込みが出たり、全体が明るすぎてハイライトが埋もれたり、逆に暗すぎて被写体が何なのか判別できなくなったりして、ある程度納得できる配置が見つかるまでの微調整に作業時間の大部分がかかっています。

最終的には右胴部分側に黒レフを配置してフチのハイライトを強調し、左側の胴と注ぎ口の下に白レフが少しだけ映り込むよう調整して、光沢感を表現しました。

おそらくシャドウ部分はもう少し暗く沈めて締めることもできたはずですが、そこはRAW現像でカバーできる範囲と考え、今回は触っていません。また、撮り終わってから気づきましたが、背景の処理にも課題が残ります。

右手前側の胴に白レフが映り込んでしまった例。映り込む部分に黒レフを置いて対処しました
別カット。アングルが良くないので被写体が何なのかわからない
ガラス表面にチタンのコーティングを施したグラス。外側から見ると中が透けて見えます。コーティングにPCの画面が映り込んでしまってなんだか締まらないイメージに
黒レフで映り込みを取り除きました。グラス下の反射も抑えて上の写真よりは落ち着いたイメージにしました

商品のイメージ写真は、あらかじめ決めたコンセプトに沿って被写体の情報を伝える目的で撮影するものですが、金属製品のイメージ写真では「映り込みの処理」と「見せたいポイントを強調して表現すること」を両立する必要があります。今回、自分で実際に撮影してみて実感したのは、映り込みがある分「光を回しておけばひとまずはオッケー」とはいかない難しさでした。


売上がアップする商品写真の教科書

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