自分の作品や自社の商品を紹介する手段のひとつとしてSNSを使う手法は定着して久しく、さりとてこれを自分でやってみると、意外と思ったようにはいかないものです。写真をはじめとしたビジュアルの組み合わせによって作品やブランドの持つ世界観を表現する基本は今も昔も変わりませんが、そのノウハウは日々進化しています。
「Instagram あたらしい商品写真のレシピ」では、Instagramの特性と他SNSとの比較や、カタログとして機能させるための具体例、掲載写真の作例まで、一般ユーザーから一歩踏み込んだ、作り手による情報発信の視点で役立つ実用的なノウハウを幅広く紹介しています。執筆を担当しているのは、インスタグラムをはじめ活躍の場を広げているフォトグラファー/インスタグラマーの綾さん、古性のちさん、6151さん、新田知沙さん、中野晴代さん。
本記事ではStep3「バリエーションが増える写真の撮り方」より、メインの被写体以外の部分にも気を配ってイメージを表現する方法を紹介します。
アイテム+人の気配でつながりを描く
物撮りは被写体を単体で配置するだけでなく、周囲の環境をつくり込むことで表現の幅が広がります。例えば、料理や日用品などを撮影するとき、人の存在を感じさせる表現を加えると、より生活に溶け込んでいる様子を伝えることもできます。写真を見た人のイメージが膨らむように画作りを工夫してみましょう。
人の存在を感じさせる表現を取り入れる
写真で人の存在を感じさせる表現には、さまざまなパターンがあります。例えば、「被写体を実際に使用している様子を表現する」「あえて人の手や足など、体の一部を写り込ませる」なども、被写体のサイズ感やリアリティーを伝える上で効果的な方法です。加えて、周囲の環境をつくり込むこともポイントです。食器を見せたいなら背景にリビングやキッチンなどの生活空間を入れたり、化粧品を見せたいなら周りに鏡やメイクボックスを配置すると、見る人が共感したり、物語を感じることができます。
乾杯のシーンで華やかな雰囲気を演出する
テーブルに並ぶ料理やイルミネーションライトを背景に、にぎやかな乾杯のシーンを表現しています。華やかな雰囲気を演出し、楽しい食事の様子が伝わるようにしました。
@haruyonakano
テーブルの上全体でライフスタイルを表現
テーブルの上を広く撮影し、雑誌やワッフルなどの小物、座っている人を写すことで、生活空間を表現しました。テーブルのものすべてでライフスタイルを表現しています。
@6151
手の影を入れてストーリーを表現する
グラスに手を伸ばす影を入れることで、単に「グラスに入った飲み物の写真」ではなく、飲もうとするシーンを表現しました。スポットライトをイメージさせる光を当て、影絵のようにドラマチックに表現することで、前後のストーリーを想像したくなるような雰囲気をつくっています。
@ayaaya_0806