大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第42回

「柴犬」の撮り方は人間と同じ?豊かな表情に注目しよう

ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第42回のテーマは「柴犬」です。

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撮影のポイント

1. 犬は感情が素直に表情に出るので、人物撮影と同じテンションで臨もう。
2. 動物瞳AF機能を活用しよう。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f5.6 1/400秒 ISO800 WB:マニュアル RAW

どういうわけか、しなのちゃんは車の後部座席に乗ると、窓から少しだけ顔を出して外を覗きたがります。アゴにガラスが食い込んでいるのがちょっとおもしろいのですが、風を受けている表情はキリリとしていて、やたらかっこいいです。助手席から、振り返る形で撮影しました。タイトルをつけるなら「To the future.」。お気に入りの一枚です。

人物撮影と同じテンションで

今回の被写体となっている柴犬は、夫の実家(北海道)に住んでいる「しなのちゃん」。女の子です。豆柴タイプと言われてやってきましたが、13kgほどある結構大きめな柴犬に成長しました。犬は言葉をしゃべれませんが、人間以上に表情が純粋で豊かなので、常にその感情がひしひしと伝わってきます。撮影では、楽しいのか、寂しいのか、その気持ちを汲み取り、雰囲気にあった絵に仕上がるよう心がけています。人物撮影と同じテンションで臨んで良いと思います。

動物瞳AFはオススメ機能

最近はお仕事でワンちゃんの撮影をしているのですが、その時にとても役立つのが「動物瞳AF」です。まだ採用されている機種は限られていますが、犬の瞳にピントを合わせてくれます。犬は素早いので、動物瞳AFがあると撮影がだいぶ楽になります。確実にワンちゃんの瞳にピントを合わせて撮影したい方にはオススメしたい機能のひとつです。と言いつつ、作品の場合は気に入ったレンズで撮影したい派なので、今回ご紹介している写真はすべてMFレンズを使っています。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f2.8 1/2000秒 ISO400 WB:マニュアル RAW

東京へ帰る日、家の窓から我々を見送るしなのちゃんの顔がなんともさみしげで切なかったので、思わずシャッターを切りました。「窓から覗いている」シチュエーションが良かったので窓ごと切り取りました。雪のちらつく寒い日だったので、ホワイトバランスは寒色側に振って、現場の冷たい空気を感じられるようにしました。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f2.8 1/2000秒 ISO400 WB:マニュアル RAW

上の写真と同じ、窓から覗くさみしげな顔、そのアップバージョンです。近づくと、よりしょんぼりした表情が伝わります。先に外に出た夫を見つめて「帰っちゃうのか」と残念そうにしているところを盗み撮りしました。表情に注目したかったので絞りは開放近くにしています。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f8 1/250秒 ISO200 WB:マニュアル RAW

しなのちゃんはよく遊んでくれる夫が好きです。広い公園に散歩に行っても、走り回らずに夫にじゃれつきます。愛嬌があってちょっとおもしろいその存在は、中央よりも、端にフレーミングした方が伝わるかなと思い、左側に思い切って寄せてみました。


フォトテクニックデジタル 2020年9月号

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。

ウェブサイト:YURIKO OMURA
ブログ:シャッターガール
Twitter:@Holy_Garden

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