大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第39回

あえて旬を外した「アジサイ」の魅力

ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第39回のテーマは「紫陽花」(アジサイ)です。

大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。

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身近なものの撮り方辞典

撮影のポイント

花の魅力は盛りだけではない。あえて旬を避けて撮るのも面白い。

キヤノンEOS 5D Mark IV タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD f2.8 1/200秒 ISO200 WB:マニュアル RAW

枯れかけた白っぽい紫陽花が目に止まりました。ちょうど濃い青色をした壁が背後にあったので、白が引き立つように壁を背景に撮影してみました。

旬を外して違った視点で撮る

これは私だけかもしれませんが、昔から紫陽花が怖いです。なぜかというと、綺麗に咲いている時の紫陽花のシルエットが脳みそみたいに見えるからです…。ゆえに、旬真っ盛りの紫陽花には近づけないため、それ以外の時期に写真に収めるようにしています。ただし、そのおかげで、普通とは違った紫陽花の写真が撮れているような気もします。自分だけの変な感覚が、別の視点をもたらしてくれることもあるのだなあと、紫陽花を見かけるたびに思います。

花が色あせてからも狙い目

そのような理由から、枯れて形が崩れているものを撮ったり、全体像が把握できないほど近づいて撮影することが多いです。いわゆる「一番いいとされる時・状態」を撮っていないのですが、そうではない時をあえて撮るというのも、他人と違う写真に仕上がって良いですよ。紫陽花は、色あせてきた頃から、枯れてドライフラワーのようになった頃も、なかなか味があって魅力的です。今年も、旬がすぎるのを待って、撮影にでかけたいなと思っています。

ソニーα7R IV KIPON IBERIT 90mm/f2.4 f2.4 1/400秒 ISO100 WB:マニュアル RAW

完全に枯れて、ドライフラワー化した紫陽花を撮りました。不思議と、枯れた紫陽花にはファンタスティックな雰囲気があります。その空気感が際立つように、ハイキーに仕上げています。

ソニーα7R III タムロン17-28mm F/2.8 Di III RXD 焦点距離:28mm f8 1/500秒 ISO100 WB:オート RAW

近寄ると怖いけれども、離れれば怖くない! ということで、群生する紫陽花を斜俯瞰で撮影しました。山の向こう側に消えていくように咲く紫陽花たちが印象的でした。

キヤノンEOS 5D Mark IV タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD f2.8 1/80秒 ISO200 WB:オート RAW

色あせ始めた紫陽花にぐっと寄って撮影しました。花の一つひとつはかわいらしい形をしています。


身近なものの撮り方辞典

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:YURIKO OMURA
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