カメラを買い、日常的に写真を撮るようになると、思っていた以上に「光」の重要性に気づくのではないでしょうか。自然光を使い、自分なりに工夫して撮るのも楽しいものですが、ストロボを使って光をコントロールできれば、屋内、屋外問わず、様々なシーンでクオリティの高い写真が撮影できるようになります。
「はじめてのクリップオンストロボ」では、外付けのストロボ、いわゆるクリップオンストロボの使い方をやさしく解説。ストロボの使いどころやその効果を豊富な作例でわかりやすく紹介しており、実践するシーンをイメージしやすい点が特徴です。そのほか、露出の基本からシンクロ撮影、オフカメラ撮影などの応用テクニックまでカバー。近いシーンを自分で用意し、実践を繰り返すことで、確実に上達できる一冊にまとまっています。
本記事では、Chapter2「光・露出・ストロボの基本を学ぼう」より、光の当たり方によって変化する陰影の出方について解説します。
光の基本・光と影のグラデーションに注目しよう
光と影のグラデーション
写真は光と影で表現します。光(明:ハイライト部)と影(暗:シャドウ部)があることで、物に立体感を生じさせます。この時、光と影のグラデーション(境界)が重要で、グラデーションのつき方で写真の印象が決まります。
明るいグラデーション
光量を少し弱めたサイド光で、明るいトーンのグラデーションを作りました。淡いコントラストで、優しい印象を与えてくれます。
暗いグラデーション
光量を強くしたサイド光で、暗いトーンのグラデーションを作りました。コントラストが強く、力強い印象になります。
グラデーションがない(のっぺり)
光を柔らかくして影が出にくくしました。グラデーションがないので、ノッペリとして凹凸も分かりにくくなっています。
グラデーションがない(くっきり)
強い光をサイド光で当てて、濃い影を作りました。光と影がクッキリと分かれ、グラデーションがなくなっています。
強い光と弱い光、光の回し方で影のつき方が変わる
「写真」を英訳すると、「Photograph」です。言葉のルーツを探ると、ギリシャ語でPhoto=光、graph=絵という意味があり、そのことからもわかるように写真は光の影で表現します。
陰影のつき方で立体感や写真の印象が決定するので、ストロボでライティングを考える時、陰影のつけ方がとても重要になります。ストロボを使う時は、「1. 光の向き、「2. 光と影の明暗差」、「3. 光と影のグラデーション」を意識して、ライティングしましょう。
点光源と面光源による陰影の変化
点光源の光
ストロボを直接発光した強い光で、被写体に濃い影ができます。力強いですが、やや硬い印象になります。晴れた日の太陽光のイメージです。
面光源の光
ストロボにソフトボックスを付けて柔らかく均一な光を当てると、影が薄くて優しい感じの 光になります。曇りの日の柔らかい光のイメージです。
光源の距離による陰影の変化
光源が近い
被写体に強く光が当たり、明るい部分と暗い部分のコントラストがはっきりと出ます。被写体の影は濃く伸びています。
光源が遠い
被写体に当たる光は柔らかく、明るいグラデーションが出ます。被写体の影は薄く、さらに長く伸びています。