ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第36回のテーマは「空港」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. 空港はいつでも“絵になる”場所。意識を研ぎ澄まして!
2. いつでもシャッターが切れるようカメラは手元に。
アメリカのどこかの空港で撮影した一枚です。夕方、出発口に向かって歩いている時、急に強い夕日が待合室に差し込んできて、外を眺めていた観光客たちの影がこちらに長く伸びていました。その光景が、黄金色でとても神々しく感じられたので、急いでシャッターを切りました。
常に自身の感性を全開に
空港は、朝昼晩どんな時間帯でも、また天気が良かろうと悪かろうと、“絵になる”素晴らしい場所です。ターミナル内はもちろん、乗った飛行機の窓から見える滑走路も、一度たりとも同じ状況のことはなく、毎回撮影する側を新鮮な気持ちにさせてくれます。しかし、空港は時間や天気の些細な変化で情景が劇的に変わることが多いので、常に自身の感性を全開にしておきましょう。一般の方は、空港はリラックスする場所かもしれませんがカメラマンは逆。
空港はシャッターチャンスの宝庫
空港では「どんな時もカメラを離さない」のが撮影の秘訣だと思っています。どのシーンでもカメラは離さない方がよいのですけど…個人的に、空港では特に、気を抜いているような時にこそ、奇跡のシャッターチャンスが巡ってくるような気がします。搭乗口へ歩いている時、飛行機の中で離陸するのを待っている時…。他の人が気を抜いてぼんやり歩いているようなシーンでも、いつでもシャッターを押せるように体勢を整えておきましょう。
雪国から東京へ帰る際、飛行機の窓からふと滑走路が見えました。灰色のアスファルトの上に、いままで離陸したたくさんの飛行機の車輪の跡が白く残っていて、模様のようで面白いなと思いました。
こちらも雪国の空港にて。離陸する寸前の飛行機の窓から外を撮影しました。気持ちのよい日差しに照らされた一面の雪が、妙に爽やかで美しく感じました。紅白の吹き流しと合わさって、これからの旅立ちがよいものになりそうな予感がしたので、シャッターを切りました。
夜の那覇空港にて。台風による大雨で、滑走路が水浸しになっていました。ターミナルのガラス越しに滑走路を撮ると、室内の様子やオレンジ色のライトが大きく写りこみ、ファンタスティックな雰囲気に仕上がりました。