大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第28回

被写体にも演出小道具にもなる「花びら」の万能性

ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第28回のテーマは「花びら」です。

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撮影のポイント

1. バランスよく散っている場所を見つける。
2. 他の被写体の引き立て役として使ってもよい。

OLYMPUS PEN-F M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO f1.2 1/125秒 ISO200 324分割デジタルESP測光 WB:マニュアル RAW

うららかな昼下がり、桜の花が散った池の中から、亀が顔を出しました。濃い緑色の水面と亀、そこに浮かぶ白い花びらのコントラストがいいなと思い、シャッターを切りました。気に入っているのですけど、欲を言えば、亀の頭に花びらが乗っている写真を撮りたかったです…。

散った花びらを模様として捉える

満開の桜もよいですが、私はどちらかというと散った花びらの方が儚くて好きです。ひたすら地面だけを見つめていても飽きない時期がやってくると思うとワクワクします(笑)。花びらを撮影する時は、全体的な視点で捉えるに限ります。散った花びらを、完全に「模様」だと思って眺めてみましょう。コツがあるとすれば、画面の中に、花びらがバランスよく散っていると感じた瞬間にシャッターを切る、ということでしょうか。

さりげなく花びらを演出として使う

もちろん花びらだけを撮影してもよいのですが、別の被写体もフレームの中に存在している場合は、その別の被写体の存在感を失わせない程度に花びらを散りばめたらよいのではないかと思います。花びらを小道具として演出に使う、という考え方です。たとえば、水面に散った花びらとそこに生息する生き物(魚など)を一緒に撮りたい場合は、花びらの密度がさほど高くない場所をあらかじめ選んでおき、生き物がその位置にくるのをじっくり狙いましょう。

OLYMPUS PEN-F M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO f2.2 1/1000秒 ISO200 324分割デジタルESP測光 WB:マニュアル RAW

駐輪場の土に花びらが散っている様子を撮影しました。普段だったら、なかなか絵にしづらいシチュエーションですが、花びらが散っているというだけで、なんだかよい感じになってしまいます。花びらってすごいなあと、こういう時に感じます。

OLYMPUS PEN-F M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO f1.2 1/100秒 ISO200 324分割デジタルESP測光 WB:マニュアル RAW

池を泳ぐ鯉と、散った花びらのバランスがとてもよい! と感じた瞬間を捉えました。日陰になっている場所だったので、水面が紫色に妖しく光っていて、それが幻想的でグッときました。日本画のような世界観だなと思ったので、鯉にはピントを合わせず、モヤっとしたままにしました。その方が、ファンタジーな感じを損なわない気がして。

OLYMPUS PEN-F M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO f1.2 1/8000秒 ISO200 324分割デジタルESP測光 WB:マニュアル RAW

これは地面ではなく、緑色の防護ネットに貼り付いた花びらを撮影したものです。花びらは、ネットの裏側にたくさんくっついていました。シルエット、とまではいかないのですが、花びらの影絵を見ているようできれいでした。日差しがいい感じに差し込み、緑とオレンジ色が心地よいと思った瞬間にシャッターを切りました。


フォトテクニックデジタル 2019年11月号

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。

ウェブサイト:YURIKO OMURA
ブログ:シャッターガール
Twitter:@Holy_Garden

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