四季の空 撮り方レシピブック
第1回

四季折々の空を作品に昇華するヒケツ・洞窟越しに差し込む光が水面に反射して撮れる「ハート型」

被写体としての「空」は、誰もが見上げればいつでも目にすることができ、その時々で様々な表情を見せてくれる、身近で手軽な存在です。しかし誰が撮っても「それなり」の絵になる一方で、写真映像作品として「それなり以上」を目指すのであれば、技術を磨き、機材を整えるだけでは足りず、さらにひと工夫もふた工夫も必要になる奥深さがあるジャンルでもあります。

四季の空 撮り方レシピブック」では、日本の四季に見られる気象現象を中心として、「空」にまつわる様々な作例と、撮り方のコツを解説しています。また、機材選びやカメラ設定についても言及しており、様々な条件がありうる気象撮影における勘所を掴むのにも役立つ一冊となっています。

本記事では「四季の空を撮る・春の空」の章より、「洞窟に差し込む日光・月光」の作例を抜粋して紹介します。

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四季の空 撮り方レシピブック

洞窟に差し込む日光・月光

亀岩の洞窟に日光や月光が差し込む時、その光が水面に映りハートの形になることがある。その貴重な瞬間を求めて、多くの人が撮影にやってくる。

洞窟の日光
日の出から1時間ほどすると、洞窟内に太陽の光が入りはじめる。徐々に光の角度は変化していき、水面に映った光とともに、ハートの形に近づいていく。風や水の流れで水面が揺れる日もある。

千葉県君津市 3月 7時24分 富士フイルム X-T2 XF10-24mmF4 R OIS 36mm F16  1/2秒 ISO200 中央部重点測光 -0.3EV WB 晴れ

千葉県君津市、濃溝(のうみぞ)の滝の近くにある亀岩の洞窟は、岩をくり抜いてできた洞窟で、3月と9月のそれぞれ後半あたりに、太陽や月の光が洞窟内に差し込む。太陽光がちょうどよく入ると、水面に映った光とともにハートの形になることから、人気の撮影スポットになっている。日光が差し込むのは、朝の限られた時間帯だ。また、満月前後の月の光でもハートは形作られるが、撮影日が限られる上、周囲には街灯の光もあるため撮影の難易度は上がる。

4K動画で日光を撮影。きれいなハートの形になった。

 

洞窟の月光
月明かりを撮影する人は少ない。月の光は弱いので、三脚を使用して絞りとシャッター速度を設定しマニュアル露出する。手ブレ防止のため、リモコンやセルフタイマーを利用しよう。

千葉県君津市 3月 19時45分 富士フイルム X-H1 XF16mmF1.4 R WR 24mm F1.4 30秒 ISO3200 マニュアル露出 WB 晴れ

人気の撮影スポットであり、チャンスも限られていることから、多くの撮影者が訪れる。撮影できる場所も限られているので、臨機応変に対応することが求められる。ズームレンズで構図を決めるといいだろう。撮影地は意外と暗く、写真の解像力を高めるために絞って撮影すると、相対的にシャッター速度がかなり遅くなるので、三脚を使うといい。月光で撮影する場合は、月齢を調べておき満月の前後を狙う。月明かりはかなり暗いので、肉眼でははっきり見えないこともある。


四季の空 撮り方レシピブック

*本記事に掲載している写真の著作権は著者が所有いたします。写真の無断使用や転載を禁止いたします。

著者プロフィール

武田康男


空の冒険写真家(R)
1960年東京生まれ、千葉県育ち。
東北大学理学部卒業後、高校教諭、第50次南極観測越冬隊員を経て、
大学や市民講座の講師、執筆、撮影、番組制作、出演などを行っている。
気象予報士。日本気象学会会員、日本自然科学写真協会会員など。
【著書】
空の探検記
楽しい気象観察図鑑
虹の図鑑
雲の名前、空のふしぎ
デジタルカメラ昼と夜撮影術」など
http://www.skies.jp/


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