趣味の写真撮影に失敗はつきもの。被写体やシーンをとらえるタイミングはよかったのに、後で写真を見たらきちんと写っていなくてがっくり、という体験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
写真教室の講師もつとめる写真家・上田晃司さんの著書「初心者が真っ先に覚えたい! 写真の表現テクニック入門」では、写真撮影における「失敗」を「自分の思い通りに撮れていないこと」ととらえ、撮影者が最初に思い浮かべたイメージに近づけるためのテクニックを詳細に解説。露出設定からピント、被写界深度、シャッタースピード、焦点距離、画角といった写真撮影の知識や技術を、図解と作例でわかりやすく説明しており、読み込むことで、撮影初心者にありがちな写真表現上の疑問を解決する一冊に仕上がっています。
本記事では、第1章「撮影の準備」より、撮影の基礎、カメラの構え方についての記述を抜粋して紹介します。
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カメラの正しい構え方を身に付けよう
撮影のキホンはカメラの構え方
筆者が写真教室で一番はじめに教えているのはカメラの持ち方と構え方です。なぜなら、しっかりとしたカメラの持ち方、構え方をできていない人が多いからです。近年はスマートフォンを使って写真を撮る人も多いため、腕を伸ばして撮影している姿をよく見ます。
カメラの持ち方や構え方が悪いと「手ぶれ」の原因になってしまいます。まずは正しいカメラの持ち方から紹介しましょう。
最初に左手をレンズの下に添え、指はズームリングやフォーカスリングを軽く握るようにして、右手はグリップを軽く持ちます。
構え方は、ファインダーを覗く場合でも、液晶モニターを見ながら撮影する場合でも脇を締めるのがポイント。この時、力みすぎるとぶれるので力を抜いて構えましょう。また、両足は肩幅くらいに開くと安定感が増します。
撮影では横位置の写真ばかりではなく、縦位置の写真も撮影します。縦位置で構える場合は、シャッターボタンが下にくるようにすると両脇を締めたまま安定感よく撮影できます。
シャッターボタンが上にくると、右脇が開いてしまうため、ぶれやすくなるので注意しましょう。
カメラのファインダーを覗く際は、利き目で覗くようにして、ファインダーに目のまわりをピッタリとくっつけるようにすると見やすくなります。カメラの正しい構え方を身に付けて安定した撮影をおこないましょう。
- 目のまわりをファインダーにピッタリ付ける
- 脇を締める。力は入れない
- 両足は肩幅ぐらいに開く
レンズの下に手を添える
レンズの下に手を添える際は、ズームレンズであればズームリングのあたりに指がくるようにし、単焦点レンズであればレンズのフォーカスリングに添えるようにしましょう。
縦に構える時も同じ
腕を伸ばすのはぶれの原因
スマートフォンで撮るように腕を伸ばして撮影するとぶれやすくなる!
脇を開くと不安定
低い構えや壁を使ったぶれ対策
ウエストポジションの構え方
かがんで目線の高さにカメラを構えるとウエストポジションの高さになります。その際、肘を膝にのせて撮影すると安定します。
ローポジションの構え方
ウエストポジションの高さよりも低い位置で撮影することをローポジションと言います。ローポジションの場合はカメラを手の平にのせて撮影すると安定します。
ストラップでぶれ防止
ストラップをおへその上くらいの長さにして、ピンと張って撮影することで、小刻みなぶれが緩和されて手ぶれを効果的に防げます。
壁を積極的に利用する
どうしても写真がぶれてしまうようであれば、上のように壁により掛かって撮影することでぶれを防げます。壁以外にも柵や電信柱なども活用できます。
上田流ストラップの付け方
1.ストラップ取り付け部の吊り金具の下から通します
2. 次に吊り金具で折り返したストラップをサルカンに通します
3.アジャスターへは、Uターンするように、カメラ側に向かって通します
4. ストラップの端が、折り返したストラップとストラップの間に出てきます
5.そのストラップの端をサルカンに戻せば、すっきりとまとめることができます
しっかりとしたストラップの付け方を紹介します。筆者が採用しているストラップの付け方は説明書などにはほとんど掲載されていない、通称「ニコン巻き」と呼ばれる方法です。ニコン巻きは、ほどけにくく、ストラップの端が飛び出ることもないので見栄えもよくなります。5つのステップでできるので挑戦してみましょう。