売上がアップする商品写真の教科書
第1回

想定ターゲットや商品から適切な撮影プランを導き出す

オンラインショップの商品写真は、その商品の売上を左右する大きな要素のひとつです。商品の販売を前提に撮られる「商品写真」は、単にきれいな写真であればいいわけではなく、写真を見た人に商品の特長や魅力をしっかりと伝える写真でなくてはなりません。

売上がアップする商品写真の教科書」では、機材選びから被写体別の撮影テクニック、ライティング、レタッチ、SNS活用にいたるまで、商品撮影の実務にまつわる知識と技術を、詳細かつわかりやすく解説しています。

本記事では、1章「目的別実践テクニック」より、商品とターゲット別の「訴求イメージ」を伝える撮影プランの設計方法を紹介します。

商品の特徴や購入してもらいたいターゲットによって、商品の訴求イメージは異なる。訴求イメージに合わせて、商品のスタイリングや撮り方を変えていくことが大切だ。

商品撮影には3つの撮り方がある

商品写真は、写真の使用目的や商品の訴求イメージによって撮影アプローチが異なる。写真の使用目的は、主に「イメージ写真」「製品写真」「使用イメージ」の3つに分けることができる。イメージ写真は、商品を購入してもらいたい人(ターゲット)に向けて、その商品の雰囲気を伝える写真。製品写真は、商品の情報を正確に伝える写真。使用イメージは、商品を使ったときを想像させる写真のこと。同じ商品でも、写真の使用目的が変われば、撮影アプローチも変わる。

売りたい商品がイヤリングの場合

イメージ写真
製品写真

売りたい商品が高級ボールペンの場合

イメージ写真
製品写真
使用イメージ

その他の商品の撮影例

イメージ写真

イメージ写真のハンバーグは、「おいしい」という訴求イメージだけでなく、ファミリー向けの商品を印象付けるために、カジュアルなイメージのスタイリングで撮影。

製品写真

製品写真のクリスマス雑貨は、物の形や色が正しく伝わるように撮影。

使用イメージ

使用イメージの洋服は、モデルが着用することで、着たときの雰囲気やサイズ感が伝わるように撮影した。

商品イメージを分析して撮影プランを作る

商品を購入するきっかけになるイメージ写真は、なんとなくのイメージで撮影してしまうのではなく、撮影前にマーケティングを行い、ていねいに撮影プランを考えていく必要がある。

まず、商品自体の訴求したいポイントを整理しよう。商品の特徴や性能、デザインなどから、どのように撮影することで訴求イメージが伝わるのかを考え、光を作り、カメラのアングルや設定などを決め、構図を考えていく。あわせて、商品を購入してもらいたいターゲット層やブランドイメージ、商品の販売価格から、背景の素材や色あい、商品と一緒に添える小物などのスタイリングを準備する。

写真にどのような“商品のイメージ”を反映させていくのかをていねいに検討することは、売上をアップさせたり、顧客を増やしたりするために、重要なポイントとなる。

父の日向け商品「お絵かきデコレーションクッキー」の撮影プランを作る

子どもや母親をターゲットにしたファミリー向けの商品。「父親の似顔絵が描ける」というアピールポイントが伝わるようにプランを考えて撮影した。

顧客ターゲットのニーズに合わせてイメージを作る

上では商品イメージを明確にしてから撮影することが大切だと述べた。さらに、商品を購入してもらいたい顧客ターゲットの性別・年齢・職業などを具体的に設定し、ニーズを探ることも非常に大切だ。どんなにきれいなイメージ写真でも、顧客ターゲットのニーズに合わない写真では、売上は上がらない。

たとえば、お手頃価格で味はおいしいと評判のスイーツショップがあったとしよう。ラインナップの大きなくくりは、洋スイーツと和スイーツで、大人数で食べるホールケーキやロールケーキ、少人数向けのピース(単体)商品が用意されている。下の図は、それぞれのニーズに合ったスタイリングで撮影したものだ。

もし、このショップの特徴のひとつである「安さ」をアピールして、安っぽいイメージで撮ってしまうと商品イメージは良くなくなってしまう。バレンタインデーのような記念日や自分へのご褒美など、顧客ターゲットのニーズに合わせて「特別感」を演出するイメージで撮影することが重要だ。

スイーツショップの商品からターゲットを想定してイメージを導く

商品3:洋スイーツホールの季節商品「バレンタインケーキ」

想定ターゲット
年齢:20~30代
性別:女性
シチュエーション:大切な人と特別な日をお祝いする

大人のエレガントなイメージを作るため、光沢感のある濃い赤色の背景紙を敷いて撮影。バレンタインデー向けの商品を伝えるため、ゴールドの数字アイテムで日付を入れた。

商品4:洋スイーツ単体の季節商品「春イチゴのタルト」

想定ターゲット
年齢:年齢問わず
性別:女性
シチュエーション:自分へのご褒美・休日に自宅で楽しむ

春のイメージに合わせて、小さな花柄の背景紙を敷いて撮影。ご褒美のティータイムのイメージを作るため、ティーカップとポットを配置した。

商品5:和スイーツ単体の定番商品「緑茶クッキー」

想定ターゲット
年齢:シニア世代
性別:女性
シチュエーション:自宅で食べるお茶請け

シニア世代をターゲットにした和スイーツ。日本茶を使用したことが分かるように、茶葉と湯飲みを配置。シニアをイメージして、白をベースに淡い色味でまとめた。


売上がアップする商品写真の教科書

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著者プロフィール

やまぐち千予


料理・スイーツ・人物を中心に、多くの企業広告の撮影を行っている。優しく生き生きとした「ストーリーのある」写真撮影が特徴。デジタルハリウッド大阪校講師、FUJIFILM Xセミナーズ講師など活動は多岐。著書に「これからはじめる デジタル一眼カメラ 写真と撮影の新しい教科書(SBクリエイティブ)がある。

 


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