ジオラマアニメーターのMOZU氏は、すべて独学、手づくりでジオラマ作品やアニメーションを生み出している若干19歳の少年です。現実と見分けがつかないほどリアルな作品をTwitterで公開すると、たった一日で4万リツイート、5万いいね!を獲得し、テレビ、ツイッター、雑誌で大注目を浴びています。
「MOZU 超絶精密ジオラマワーク」(著・MOZU)では、彼の新作を含め、これまでに制作したジオラマ作品やコマ撮りアニメーション作品を紹介するとともに、制作方法や制作現場、道具、アイデアノートなども掲載し、各界から天才少年と呼ばれるMOZU氏を徹底解剖しています。
本記事では、MOZU氏が高校の展示会用に作成した「ゴミ捨て場」をご紹介します。
『生活感溢れるリアルワールド』
つくりたいものを探していたら、この題材に行き着いた
学校の展示会に提出するジオラマ作品の題材を探していた時に、たまたま近所のゴミ捨て場が目に入ってきました。よく見ると、こんなに生活感に溢れた場所はなく、つくってみたかった家電もあり、僕の好きなものが詰まっていることに気がつきました。
展示会用の作品だったので、360度どこからでも鑑賞できるようにするのがこの作品の最大の課題でした。ゴミ捨て場だけではなく周りのアスファルトまで再現しているのは、こういう事情によるものです。近所にあったゴミ捨て場だけでは参考にする材料が足りなかったので、インターネットで検索してさまざまなゴミ捨て場のいいところを集めて作品に反映させています。学校に提出する締切があったので、年越しの瞬間も作品をつくっていたのが強烈な思い出となっています。
ミニチュアを配置する時の極意
ゴミ捨て場という規則性のないものの配置は引き算の作業。自由度が高過ぎるからこそ難しい。
前からつくってみたかったということもあって、最初はもっと多くのゴミをつくって
いた。だが大量のゴミを配置してみて、ものがあり過ぎると不自然になり隙間がある方
がゴミ捨て場っぽくなることに気づいた。そこからはひたすらものを引く作業に。
ジオラマに登場するアイテム
【冷蔵庫】
作り方:プラ板をカットし、本物の冷蔵庫のように組み立てる。ドアを開けるためにプラ板の端に縦に穴を貫通させ針金を通し、蝶番を再現。仕上げに全体に薄めた黄色を塗布し、黄ばみを再現している。
【テレビセット】
作り方:捨てられたテレビということで、ブラウン管テレビと録画機、テレビ台をセットに。すべてプラ板工作。45度の角度で叩いてももう映らない。テレビの裏側も見えないが、しっかりとつくられている。
【弁当箱】
作り方:バランと呼ばれる緑の草のようなものまで再現しているのがポイント。値段が書いてある紙に遊びで何かおもしろいことを書き足した気がするが、今となっては小さ過ぎて読めない。
【空き缶】
作り方:手に取ると驚くほど軽いのは、すべて紙でつくられているため。印刷したラベルを、紙でつくった缶のボディに巻き、折り目をつけてへこませる。
【ゴミ袋】
作り方:黄色のビニール袋をカットして、熱で接着。チラシなどをイメージして印刷した紙を、本物のゴミに見えるように丸めたりしてビニール袋の中に詰める。
<玄光社の本>