風景写真の便利帳
第1回

レンズの使いこなし方 ー広角レンズは被写体との距離がすべてー

枝垂桜の花つきのよい枝を選び、そのすぐそばに寄り添うように近付き撮影。手前の花と奥の幹との遠近感が強調されることで、まるで天から降り注ぐような、枝垂桜のダイナミックな美しさを表現できた。 [ 撮影データ]フルサイズカメラ 14 -24 mmズームレンズ( 14 mm ) 絞り優先AE( F4・1/1600秒) -0 .3 EV補正 ISO200 WB:太陽光

デジタルカメラやスマートフォンの性能が上がり、シャッターを押せば誰でもカンタンに美しい写真が撮れるようになった。しかし、「ワンランク上の写真を撮りたい、もっとレベルアップしたい」という人も多いだろう。萩原ブラザーズこと、風景写真家の萩原史郎氏と萩原俊哉氏は、共著の「風景写真の便利帳」で自然風景撮影にかかわるさまざまなノウハウを紹介している。

第一回目は、「撮影編」から広角レンズの使いこなし方をご紹介する。

広角レンズは文字通り広い範囲を撮ることができるレンズだ。だが、広大な風景を広々と撮ることができるレンズである、と思っていたらそれは大間違いだ。狭い場所でこそ、その真価を発揮すると言っても過言ではない。その秘密は遠近感を誇張する広角レンズの特性にある。

広角レンズは近距離の被写体は大きく、遠距離の被写体は小さく写るという特性がある。広大な風景は遠景や 中景であることが多いので、ただ広く写ってしまう。一方、狭い場所は至近距離に被写体や前景があるので遠近感が強調されやすくなる。被写体の大きさに違いが生まれワイド感が誇張されることになる。

別の見方をすれば、遠近感を誇張したいのなら被写体にできるだけ近付くこと。被写体との距離を縮めることでそこを「狭い場所」にしてしまえば遠近感が強調される。枝垂桜なら上から伸びている花に近付く、森の中なら足元のシダに近付くといった具合だ。花畑を撮影する際も、立った状態で撮影するより、しゃがんで花畑に近付くだけでも遠近感に違いが出る。お試しあれ。


CHECK  POINT!!

  • 広い場所で使うな!狭い場所に行け!
  • ワイド感を得るには被写体に近づくこと
  • 花畑ならしゃがむだけでも効果あり

 

[ 撮影データ]APS-Cサイズカメラ 11-24 mmズームレンズ( 10 mm/35 mm換算15 mm )補正 絞り優先AE(F8・1/250秒) +0.7EV補正 ISO200 WB:太陽光

狭い場所でこそ真価を発揮する、それを実践したカットだ。天に向かって広がる黄葉の下にもぐり込んで撮影している。主役の周囲にちらりと背景を取り込むことで、この黄葉が光を求め広がっている様子をそれとなく表現している。

滝なら流れに近付く、足元のシダの近付き見上げる…。どちらのカットもキーワードはメインの被写体に対して近付くこと。シダの写真は小さな被写体であるがゆえにワイドマクロ表現になっていることにも留意されたい。


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風景写真の便利帳

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著者プロフィール

萩原 史郎&萩原 俊哉

萩原史郎(はぎはら・しろう)

1959年山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊(*現在は隔月刊) 風景写真」の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。現在自然風景を中心に撮影、執筆活動中。2015年に初個展「色X情」を開催。東京を皮切りに、仙台、福岡、名古屋へと巡回。

カメラグランプリ選考委員
オリンパスデジタルカレッジ講師・山コミュ管理人
日本風景写真家協会会員(JSPA)

 

萩原俊哉(はぎはら・としや)

1964年山梨県甲府市生まれ。 広告代理店に入社、食品関連の広告制作に配属、カタログ制作、イベント企画等に携わる。 退社後、フリーのカメラマンに転向。浅間山北麓の広大な風景に魅せられて、2007年に拠点を移し、2008年に本格的に嬬恋村に移住。 現在自然風景を中心に撮影、写真雑誌等に執筆。また、2014年11月にはBS11で放送されている「すてきな写真旅2」に出演。最近ではセミナー講師など多数活動中。

カメラグランプリ選考委員
ニコンカレッジ講師
日本風景写真家協会会員(JSPA)

 

書籍(玄光社):
風景写真の便利帳
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