オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民
第4回

ルネサンス文化の花開く|宗教改革と大航海時代

日々目まぐるしく変化していく現代社会において、世界や国内の情勢を正しく見極めるために知っておきたい教養こそ「地理」「歴史」「公民(政治経済)」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民」では、スタディサプリの社会科講師を務める伊藤賀一が、義務教育課程の内容にプラスアルファした情報を分かりやすく解説。イラストや図版つきのオールカラーでしっかり学べる”教養書”となっています。これからの社会を生き抜く上で必須の知識を、「オトナ」だからこそ学び直したい時に役立つ一冊です。

第四回の本記事では、第二章の「歴史」から、中世の「宗教改革」と新たな航路の発見「大航海時代」についてご紹介していきます。

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オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民

芸術表現としての〝生の謳歌〟

ヨーロッパでは、5~15世紀頃までの時代を中世といいます。当時、キリスト教のローマ=カトリック教会が大きな権威を持っていました。しかし、14世紀前後のイタリアでは、ギリシャやローマの古典文化を見直し、人間の個性や自由を尊重する文化運動が始まりました。これをルネサンス(文芸復興)といい、レオナルド=ダ=ヴィンチやミケランジェロなどの芸術家が活躍しました。また、近世となったルネサンス期には、活版印刷の技術も発達しました。

悪魔と契約したから魔女に!?

カトリック教会は、ヨーロッパ各地で芸術家を保護してルネサンスの文化を花開かせますが、聖職者たちのぜいたくな暮らしは批判も招きました。16世紀には、ドイツのルターやフランス出身のカルヴァンがカトリック教会を批判し、宗教改革を始めます。それによって生まれた新しい宗派をプロテスタントといいます。 カトリック(旧教)とプロテスタント(新教)の間には激しい対立が起きました。神に背いた者を迫害する「魔女狩り」は、宗派対立のため激化しました。

イスラーム帝国が世界最強だった頃

中世~近世にかけては、キリスト教のヨーロッパ世界よりも、西アジア~北アフリカのイスラーム世界の方が力を持っていました。トルコ人が建てたオスマン帝国(1299~1922年)は、1453年に東ローマ帝国を継承するビザンツ帝国を滅ぼし、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる大帝国を築きました。オスマン帝国の軍楽は、トルコ行進曲として西洋音楽に取り入れられています。

世はまさに大航海時代!

14世紀以後の西ヨーロッパでは、肉の味付けに使う胡椒(こしょう)などの香辛料りょうの需要が高まりました。 香辛料は主に東南アジアで産出するため、ポルトガルやスペインは、直接アジアに向かう航路を求めて航海に乗り出しました(大航海時代)。ポルトガルのヴァスコ=ダ=ガマは、東廻りでインドへの航路を開拓し、ポルトガル商人が東南アジアや中国のマカオに進出します。スペインに支援されたコロンブスは、西廻りで大西洋を横断して新大陸を発見。さらに、スペインはマゼランの船団が太平洋も横断してフィリピンに進出、最終的に世界周航を果たしました。

〈大航海時代とヨーロッパの海外進出〉

オトナのための教養が身につく! 日本の地理・歴史・公民

著者プロフィール

伊藤賀一

(Ito Gaichi)1972年、京都生まれ。法政大学文学部史学科卒業後、東進ハイスクールなどを経て、現在、リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」で高校日本史・倫理・政治経済・現代社会・中学地理・中学歴史・公民の7科目に加え、歴史総合・公共も含めた全9科目を担当する「日本一生徒数の多い社会講師」。著書に『世界一おもしろい 日本史の授業』(KADOKAWA) 、『ニュースの“なぜ?”は日本史に学べ』(SB新書)、『くわしい 中学公民』(文英堂)、『「90秒スタディ」ですぐわかる! 日本史速習講義』(PHP研究所)などがある。
ウェブサイト:https://www.itougaichi.com/
X:@itougaichi

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