連載第1回 欠けてしまった思い出のうつわを直す「金継ぎ」という魔法では、欠けてしまったうつわのつくろい方を見ていただきましたが、今回は派手に割れてしまったうつわをつくろう金継ぎの「魔法」をご紹介します。
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STEP 1
割れた器のパーツを確保しましょう。
パーツはきれいに洗います。欠片がバラバラの場合、つなげる順番をよく考えましょう。欠片の一部がない場合は、第1回の記事の要領でパテ埋めをします。
STEP 2
マスキングテープで仮止めしましょう。
割れた部分の状況を確認するために、仮止めします。隙間があいてしまったり、欠片が足りないことがよくあります。金や銀のマスキングテープを使うと仕上がりが想像できて便利です。
STEP 3
欠片を接着しましょう。
うるしは、乾燥に時間がかかりますので、瞬間接着剤で代用します。接着剤がはみ出さないよう注意してください。
STEP 4
ヒビの隙間を埋めましょう。
マスキングテープを外すと、かすかなヒビには隙間や段差が見えます。マスキングテープを外すと、かすかなヒビには隙間や段差が見えます。STEP1「欠けたうつわを直す」と同じようにパテ(合成樹脂)を混ぜ、ヒビに押し当てます。ほんのすこしだけ水をつけると隙間に入りやすくなります。
STEP 5
表面をきれいに仕上げましょう。
はみ出した瞬間接着剤やパテを竹ヘラやカッターでそっと削ります。
ヒビをライトや明るいところにかざして、隙間がないことを確認します。きれいに隙間が埋まっていれば、触っても段差がありません。
STEP 6
耐水ペーパーでヤスリがけしましょう。
欠けの修復作業と同じく、400番~1000番程度の耐水ペーパーを使います。ペーパーに水をつけながら表面をそっと研いでいきます。焼き締めの陶器やガラスなどは、周辺に傷をつけないように優しく作業して下さい。
STEP 7
竹串などを削って筆を作ります。
細くて美しい線を引くために「竹筆」を作ります。いらなくなった木のお箸や割り箸などでも大丈夫です。傷の細さに合わせ、カッターで先端を細く削りましょう。
STEP 8
金粉と新うるしを混ぜましょう。
絵皿(パレット)に、金粉と新うるしを1:1で混ぜます。薄め液を数滴たらしながら、ゆっくり混ぜていきます。ハケ目がすっと消えるくらいがちょうど良いです。
STEP 9
ヒビの上に金うるしを塗りましょう。
ヒビに金を入れる作業は、センスが問われる行程です。筆より細いヒビの上は、先を削った串を使って絵を描くような感じで作業します。
筆先を寝かし、置いていくような感覚で、ゆっくりと作業しましょう。
STEP 10
乾いたら完成です。
ヒビの線が気に入らなかった場合、完全に乾燥してから、カッターナイフの先端を使い、余分なところを削ります。
STEP 11
金に磨きをかけます。
完成した後、1~2日は、自然に乾燥させます。布で磨くふぐ印の「コータク」という液状研磨剤もあります。
<玄光社の本>