暮らしの文房具
第2回

強制オフラインで思考に没頭する

ステーショナリーディレクターとして文房具の商品企画やPRのコンサルティングを行う土橋正さんは、著書「暮らしの文房具」にて、じっくり使ってみて分かった、本当にいいと太鼓判を押す文房具を紹介しています。普段の生活から仕事まで、暮らしに寄り添い、長く愛用できる文房具とは、どのような逸品なのでしょうか?

ここでは、第2章「考える」、第3章「残す」よりそれぞれ「方眼紙」と「バインダー」を紹介します。

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A3という大海原で思考を泳がせる

神戸派計画
recto(レクト)プランニング
A3(297×420mm) 方眼4種類(1mm、3mm、4mm、5mm)/60枚/700円
*1mm方眼は数量限定

紙のフォーマットは方眼。私のおすすめは3mmと4mm。これくらい小さいとマスの中に文字を書こうなどと思わなくなる

現代という世の中は誘惑がとても多い。考える仕事をしていても、メールが届くとついつい見てしまったり、ふと手を休めた拍子にフェイスブックやツイッターをチェックしてしまったりなどなど、腰を据えてまとまった時間集中することがなかなかしづらい時代である。

このA3パッドはそうした誘惑から強制的に逃れられる。まず、このA3というどでかい大きさがいい。あまりにも大きくて自分の机では到底広げられない。私はこのA3のパッドを使う時は打ち合わせのテーブルに移動する。こうしてパソコンから離れて強制的にオフラインに身をおくことができる。この時、くれぐれもスマホを持って行かないこと。

そして、私は黒鉛芯系筆記具を片手にこのA3という大海原に向かう。ふだんA4の紙に向かうことはよくあるが、A3というのはあまりない。その新鮮さが脳にもほどよい刺激になる。中央に考えるテーマを書きこみ、あとは思いつくままアイデアやキーワードを自由に書き広げていく。ここでもうひとつA3のよさが実感できる。A3という大海原を書き尽くすにはゆうに30分はかかる。つまり、30分は考えるという作業に没頭できる訳だ。30分間連続で考えると、ある程度のアウトプットを残すことができ、達成感も味わえる。

 

開け閉めがとてもスムーズなファイルで請求書管理が楽しく

タツノ
bindman AC
A4(310×260mm)/80mm2穴/1,800円

私は毎月1日を「スキャンの日」と定めている。一ヵ月の間に自分の所にやってきた書類の中で、これは重要というものだけをデジタル化して書類の量をどんどん減らしている。定期的にスキャンすることで机には書類の山や丘すらなくなった。ただ全ての書類をスキャンという訳にはいかず、中には書類のまま残しておかなければならないものもある。請求書や納品書の類だ。税理士からこれらは残しておくように言われている。特に請求書は毎月末にクライアントに送るので、控えを定期的にファイリングする必要がある。

レバーを下げると、このように背が折りこまれてファイルが完全に開ききる。どうぞ書類をお取りくださいという状態になる

この「bindman」というファイルはリングの開閉がとてもスムーズ。ファイリングという退屈な作業を少しだけ楽しくさせてくれる。たっぷりと書類を綴じこんだファイルを開くと、ちょうど本を開いた時のように両側のページはゆるやかなカーブを描く。リングの下にあるレバーを押すと、リングが開くと同時に、背の蝶番が完全に折りこまれる。これによりページの紙面は完全なフラットになって書類がだしやすくなる。 もともとこのファイルのベースになっているものは、役所で戸籍簿や住民票などを綴じるために開発されたものだ。日々何度も開け閉めが繰り返される現場のために作られているので、開け閉めのしやすさは折り紙付きなのである。

 


<玄光社の本>

暮らしの文房具

著者プロフィール

土橋 正


(つちはし・ただし)

ステーショナリー ディレクター。

文具の展示会「ISOT」の事務局を経て、土橋正事務所を設立。文具の商品企画やPRのコンサルティング、文具売り場のディレクションを行っている。

文具ウェブマガジン「pen-info」では、文具コラムをはじめ、海外の文具展示会レポートな
ど様々な情報を発信している。新聞、雑誌などの文具特集にも多数参画。日本経済新聞社 新製品評価委員。

「仕事文具」「モノが少ないと快適に働ける」(東洋経済新報社)など著書多数。

書籍(玄光社):
暮らしの文房具


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