2024年5月25日(土)〜6月16日(日)金柑画廊
金柑画廊にて、松下悠見「明窓」が開催される。会期は、2024年5月25日(土)〜6月16日(日)まで。
松下悠見氏は、アクリル板を用いて重ねた層に素材を構成し、イメージを構造的に表現した「アクリル積層コラージュ」で、コラージュが本来持っている立体性を探求してきた。本展では、彼女の母が幼い頃に描いた絵にインスピレーションを受け、それらを素材にしたアクリル積層コラージュの作品群を展示する。
そして、自身の作品でアクリル板が持つ透明感に度々「窓」のイメージを想起。本展タイトル「明窓」は、光がよく差し込む窓のこと。窓は、反射しながら光を通し、外の世界と内の世界を繋ぐものでもある。コラージュの技法としての拡張から、素材との関係性へと意識を向けて、よりパーソナルで内面的な表現を試みる。素材の質感を繊細に捉えた立体的なコラージュに、時間や関係性といった観念的な表現が彼女の作品にどのような変容をもたらすのか。
コラージュ作品を作る上で、素材は作品を大きく左右する要素となる。
ある日、捨てられそうになっていた当時10歳だった母の絵が100枚ほど見つかった。果物や動物、花瓶や花を描いた静物画は、稚拙にも大胆な色彩と構図で描かれている。
これはかつての他人であった母の遠い記憶の記録である。
一度切ってしまうと元には戻らない母の絵にハサミを入れる。
窓の向こうにいる幼少期の母と反射する自身の記録の像を重ね、アクリル積層コラージュシリーズによりパーソナルな素材と対峙し、かつての他人の母とコミュニケーションをとる。
(松下悠見)
<展覧会概要>
松下悠見「明窓」
会期:2024年5月25日(土)〜6月16日(日)
会場:金柑画廊
開廊時間:12:00〜19:00
休廊日:月、火、水
<プロフィール>
松下悠見(Yumi Matsushita)
1987年生まれ。
桑沢デザイン研究所スペースデザイン専攻科卒業。
インテリアデザイン事務所にて内装設計の仕事をしながら2013年からコラージュ作品を制作。
現在は平面に限らず立体や映像などの手法で実験的にコラージュを展開させている。
展示を中心にイメージビジュアル制作や本の装画なども手掛けている。