食べかけのたい焼きやカップに注がれるコーヒー、指につままれて変形した豆大福、溶けてつながったトーストのチーズ……。一見本物にしか見えない食べ物の木彫り作品をSNSやTVで見かけたことはありませんか。
木彫りアーティスト、キボリノコンノさんの作品集「キボリノコンノ作品集 キボリアル」では、朝食メニューやお菓子をモチーフとした作品の写真とその製作工程を紹介。パッと見で食べ物そのものの木彫り作品を楽しむとともに、食べ物の持つ柔らかさや瑞々しさを、木彫りという手段でどのようにして表現しているのかをも合わせて知ることができる一冊となっています。
本記事ではChapter4「KIBORINO FOODS」より、「氷」をモチーフとした木彫り作品を紹介します。
溶けかけの氷
メイキング
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無茶振りから生まれた初めての透明作品
「木彫りで透明なものを作ってよ」と言う友人の無茶振りから生まれた作品で、初めて透明に挑戦した作品でした。最初は無理かと思いましたが、できたら驚いてくれるだろうと、やる気がみなぎりました。家の中の透明なものを探してみたんですが、そこで氷を選びました。さらに、溶けかけていれば動きも出るなと。
工夫したのは、透明になった時の木目の生かし方。下のプレートと一体でできてるんですが、ここがポイント。木目が氷と板がつながっているように見せることで、板が透けて見えるようになるんです。木目は塗装ではなく本物をそのまま生かしています。そこにハイライトや氷の中の気泡を塗装することで十分透明になるんです。
Point of Making
1
氷の上底部分や、氷の中に走っている筋の部分に白いアクリル絵の具を塗布する。氷と溶けだした水にニスをたっぷり塗って光沢と液体感を出したら、しっかりと乾かす。
2
その上からさらに白い筋や気泡を描き足していく。